健康科学速報

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カテゴリ: 神経・認知

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通常の治療法が効かない重度のうつ病患者には、キノコ由来の精神作用成分が治療に有効かもしれない。

Imperial College Londonの研究チームは、キノコ由来の分子であるpsilocybinの有効性を19人の重度うつ病患者で検証した。Psilocybinは、向精神薬と類似の作用を持ち、脳内の”幸せホルモン”であるセロトニン受容体を活性化する。

患者による問診により、psilocybin投与から一週間後には、19人の患者全員でうつ症状の大幅な改善がみられ、5週間後でも19人中12人の患者で効果が持続していた。

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脳副腎白質ジストロフィー(CALD)に対する遺伝子治療の臨床試験が最近行われ、治療を受けた患者のうち、88%の患者で病気の進行が抑えられたことが報告された。

CALDは、若い男児に好発する神経変性疾患で、診断から10年以内に命を落とすことが多い。

New England Journal of Medicineに発表された論文では、遺伝子治療を受けた17人の患者のうち、15人で病気の進行が抑えられ、2年以上にわたって神経の働きが保たれた。

今回の臨床試験は、単一遺伝子を標的にした遺伝子治療の治験で最大のものであり、bluebird bio社の協力により行われた。

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神経細胞韓国とシンガポールの共同研究チームは、パーキンソン病の発症メカニズムについて、従来の説を覆す可能性のある発見をしたと発表した。

パーキンソン病は、神経伝達物質であるドパミン量の低下により引き起こされると考えられているが、これがどのようなメカニズムでパーキンソン病にみられる震えや硬直につながえているのかはわかっていない。パーキンソン病発症メカニズムの仮説として、筋肉の意図的な動きを制御する大脳基底核(basal ganglia)でドパミン量が低下することで、神経が抑制されることが原因ではないかと考えられてきた。

今回、研究チームはマウスを用いた実験で、光遺伝学(optgenetics)の手法によって抑制性神経を活性化することで、大脳基底核の働きを抑制した。意外にも、研究チームは大脳基底核の抑制によって、視床腹外側核神経(ventrolateral thalamic neuron)が過活性化されることを見出した。

これは「リバウンド発火(rebound firing)」とよばれる現象で、研究チームはこれが運動が抑制されるメカニズムではないかと考えている。研究チームはさらに、遺伝学の手法によってリバウンド発火を抑制したマウスを作成したところ、ドパミン量が低い状態でもパーキンソン病症状を起こさないことを確認した。

この発見は、パーキンソン病メカニズムの解明において、ブレークスルーになる可能性がある。

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認知症

アルツハイマー病を含む認知症は、2015年には世界中で4700万人の患者がおり、これを予防することは重要な課題である。

世界中の認知症の専門家24人が共同で執筆し、最近The Lancet誌上で発表した総説論文によれば、認知症のうち三分の一は、以下の生活習慣を改善することで予防できる可能性がある。

認知症のリスクを減らすためには、
  • 中学校までの教育を受ける
  • 高血圧肥満糖尿病を避ける
  • 中年での聴覚障害を予防、および治療する
  • 喫煙しない
  • 運動する
  • うつ病社会的孤立を避ける
論文によれば、認知症のうち35%は、これらの要因によって引き起こされるため、これらを避けることで理論上、三分の一の認知症を防止できることになる。

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脳研究者


iPS細胞を用いて作製された神経細胞が、パーキンソン病モデルのサルで機能することが証明された。京都大学の研究チームが、Nature誌に発表した。動物実験に成功したことにより、ヒトでの臨床試験に道が開かれた。

パーキンソン病では、神経細胞の一種であるドパミン(DA)神経細胞が特異的に失われる。研究チームは複数のiPS細胞系列から作製したDA細胞をパーキンソン病のサルに移植したところ、ES細胞由来のDA神経と同様の効果が得られた。iPS細胞はES細胞よりも、はるかに容易に入手できる等の理由から、臨床応用する上で大きな利点がある。

また研究チームは、治療効果には「質」の高いDA細胞を用いることが重要であることを示し、Dlk1などの遺伝子が「質」の指標となる可能性について、今後、研究を行っていく。


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