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脂肪に由来する幹細胞が、二次進行型多発性硬化症(MS)の安全で実現可能な治療戦略となる可能性が第1・2相臨床試験の結果によって示された。

この発見は、PLOS One誌に掲載された。


再発寛解型MSと二次進行型MSは、多発性硬化症の主要なサブタイプだ。しかし、再発寛解型MSに対する治療法が進歩している一方で、二次進行型MSに対する治療法の開発は非常に限られている。

二次進行型MSは神経損傷によって起こると考えられることから、研究者らは新たな治療法の候補として幹細胞に注目している。つまり、幹細胞は、中枢神経をある程度回復させることが動物実験で知られているので、これを使って神経細胞の損傷を修正できる可能性がある。

脂肪由来の幹細胞は、脂肪組織切除術によって最小限の侵襲で入手できるという利点を持っている。しかし、これまで脂肪由来幹細胞を二次進行型MSの患者の治療に使うという試みは、行われていなかった。

そこで、研究チームは脂肪由来幹細胞による二次進行型MS治療の安全性と実現可能性を研究するために、二種類の異なる投与量を用いて第1・2相臨床試験を行った。

チームはまず、患者の同意を得て脂肪組織から幹細胞を入手した。そして、30人の患者は無作為に三つのグループに分けられ、プラセボ、低投与量(1×10^6 cell/kg)あるいは高投与量(4×10^6 cell/kg)脂肪幹細胞の注射を一度受けた後、12か月間調査された。11人の患者はプラセボ薬を投与され、10人が低用量、9人が高用量の脂肪幹細胞治療を受けた。

この治療期間中、脂肪幹細胞治療を受けたグループで重大な副作用として尿道感染が一件だけ報告されたが、治療とは関連がないと考えられた。他には安全性の問題は報告されなかった。

治療効果に関しては、決定的な効果は得られなかったが、これはこの臨床試験が治療効果を検証するようにデザインされていないためと考えられる。

この結果から、研究チームは脂肪幹細胞の注射は、二次進行型MS患者にとって安全で実現可能だと結論付けた。

「この試験は有効性を調べることを目的としていなかったが、いくつかの有効性に関するヒントがMRIと誘発電位から観察された。より大規模な試験によって、治療効果の可能性は検証される必要がある」と研究チームは述べた。








参考:Fat-Derived Stem Cells a Potential Safe, Feasible Treatment for Secondary Progressive MS, Trial Shows