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ノバルティス社の開発するシポニモド(siponimod)は、二次性進行型多発性硬化症(MS)患者において、神経細胞損傷の血中バイオマーカー量を減少させることが第三相臨床試験で示された。

この成果は、4月21日から27日にかけて行われる学会である2018 annual meeting of the American Academy of Neurologyで発表される。


過去の研究によって、NfL(neurofilament light chain)と呼ばれるたんぱく質が、再発寛解型と進行型のMSの活動性を測る信頼性の高い指標として使えることが知られていた。このNfLの量は神経細胞への損傷と関連しており、脳のMRI画像に代わる疾患のモニター手法となる可能性もある。

第三相臨床試験であるEXPAND試験(NCT01665144)では、1,452人の二次性進行型MS患者の血液サンプルを用いて、シポニモドがNfL量を減少させるかが研究された。被験者は、一日一回、2mgの経口シポニモドあるいはプラセボ薬を服用した。

シポニモドを21か月間以上服用した525人の患者では、NfLレベルが5.7%減少した。一方で、プラセボ薬ではNfLは9.2%上昇した。

この大きな変化は、過去二年間に再発を経験した患者(212人)でも、経験しなかった患者(312人)でも共通であった。再発を経験した患者では、シポニモドによって血中NfL量は10.5%減少し、プラセボ薬ではNfLは7.1%上昇した。再発を経験しなかった患者では、シポニモドによるNfL量変化は2.5%の減少で、プラセボ薬では10.7%の上昇となった。

総合的に、この血中NfLに基づいた結果は、シポニモドが二次性再発型MSの疾患の活動を減少させることを示唆している。研究者らは、「血中NfLレベルの動的変化や進行型疾患への関連性」については、さらに研究が必要だとしている。

シポニモドは、二種類のスフィンゴシン‐1‐リン酸受容体とよばれる免疫細胞表面のたんぱく質を阻害する。これによって、免疫細胞が脳や脊髄へと移動するのを防ぎ、MSを引き起こす神経細胞の障害を抑えることができる。今回の発見は、シポニモドが間接的に、二次性進行型MSでの炎症を減らすことを示している。

最近の第三相臨床試験の結果によって、シポニモドが二次性進行型MS患者の障害の進行リスクを抑えることが示されている。また、シポニモドは脳の萎縮を大きく遅らせ、再発率を減らすことも明らかになっている。

関連記事:シポニモドは二次性進行型多発性硬化症の悪化リスクを下げる 第3相臨床試験

ノバルティス社は、シポニモドを二次性進行型MSに対する疾患修飾療法としてアメリカ食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁に市販化の申請を近く行う予定だ。





参考:#AAN2018 – Siponimod Reduces Disease Activity Biomarker in SPMS Patients