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出産時の痛みを抑えるための局所麻酔は、多発性硬化症(MS)の女性が出産後に病気を再発するリスクを高めないという研究結果がヨーロッパから報告された。

この研究では、硬膜外鎮痛法(neuraxial analgesia)という方法を対象にしており、その論文はMultiple Sclerosis Journal誌に掲載された。


MSは男性よりも女性に多く、出産適齢期に診断されることが典型的だ。一時期、妊娠がMSを悪化させるとの懸念が持たれたこともあったが、最近の研究によれば、妊娠中(特に終わりの3か月)では、MSの再発率が低下することが明らかになっている。

しかしながら、出産後の最初の三か月では、再発率は増加することが知られている。これは特に、妊娠前の一年以内や妊娠中に再発を起こした女性に当てはまる。

現在、医師の間で議論になっているのは、出産中に女性の痛みを和らげる局所麻酔が悪い影響を与えるかどうかという点だ。この麻酔がMSを引き起こしたり、ミエリン鞘による保護を失った神経細胞に作用して再発を起こすのではないかと懸念する医師もいる。

多くの麻酔科医は、最近再発を経験した女性に硬膜外鎮痛法を使いたくないと考えている。この方法では、皮下や脊椎への投与が行われる。

この疑問に光を照らすために、ヨーロッパの研究者らは、硬膜外鎮痛法がMSの女性に対して、出産後の三か月間に再発のリスクを増加させるかどうかを調査した。


出産時の麻酔は産後のMS再発に無関係である



彼らの分析では、二つの大規模な試験が対象とされた。一つは、1993年から1995年に行われたPRIMS試験で、ヨーロッパ12か国の215人の女性患者が含まれた。もう一つは2005年から2011年に行われたPOPART'MUS試験で、フランスとイタリアから再発寛解型と二次性進行型のMS女性患者174人が参加した。

これらの試験では、軽微な障害を持つMS患者で、妊娠中や産後三か月に疾患修飾療法を受けていない女性が選ばれた。

今回の分析では、389人の女性患者のうち、40%に当たる156人が硬膜外鎮痛法を受けたことが発見された。患者の24%が妊娠中にMSの再発を起こし、出産後の三か月では25%が再発を起こしていた。

すでに知られていたように、妊娠中に再発を経験した患者は、出産後の再発を起こしやすい傾向にあった。この傾向は、硬膜外鎮痛法を受けたかどうかには関係がなかった。

研究チームは、今回の分析で硬膜外鎮痛法と出産後の再発について相関がないことを見出した。この発見は、先の二つの臨床試験の結果と合致するものであった。

今回の分析の限界は、硬膜外鎮痛法の詳細な情報が欠落していることだとチームは言う。それは、投与場所が皮下か脊椎かという情報、および使われた麻酔薬の種類と量などの情報だ。将来の研究には、症状の発現に関する詳細な情報や脳イメージングなどが必要だとチームは記した。

「我々の研究は、MS女性患者にとって、妊娠中のMS活動の有無に関係なく、硬膜外鎮痛法が無害であるという議論を追加で提供している」と研究チームは書いた。

「MS女性には、出産後には再発リスクが増大することを知らせることが重要だが、これは妊娠中のMS疾患の活動に密接に関連したものであり、出産時の局所麻酔の有無には関係がない」とチームは結論付けた。






参考:Pain Treatment During Labor Does Not Increase Risk of MS Relapses After Delivery, Study Finds