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多くの多発性硬化症(MS)の患者が、病気に関連する炎症を抑えるために疾患修飾療法を受けている。しかし、多くの患者で、この治療法はある時点から効果が弱くなってしまう。

効果が弱まった時に、治療を止めるべきだろうか?

最近の研究によれば、60歳以上の患者、かつ医師の指導による場合には、疾患修飾療法の中止によって良い結果が得られる傾向にあるという。

この研究は、Multiple Sclerosis Journal誌に掲載された。


疾患修飾療法は、免疫システムを標的にすることで、炎症反応を抑える。しかし、時間が経つと、炎症反応は自然と収まっていく。したがって、この時点に至ると、炎症反応を抑える疾患修飾療法を継続することの有用性について疑問が生じてくる。

患者の中には、再発や明らかな炎症反応がないにも関わらず、徐々に身体障害が蓄積していく者もいるが、炎症以外の他のメカニズムが障害を進行させていると研究者らは考えている。


疾患修飾療法の中止には、患者の年齢と医師の指導が重要



治療を止めるかどうかの決定に当たっては、患者の年齢と医師の指導を考慮するべきだと研究者らは指摘する。

これまでの研究によって、再発の頻度と免疫システムの機能は加齢とともに減少することが知られている。しかし、医師が60歳以上の患者に疾患修飾療法を行う際のガイドラインがないため、現状では患者ごとに異なった治療方針が取られている。

研究チームは、60歳以上の患者について疾患修飾療法の中止率を調査した。この調査では、医師と患者により報告された治療中止による影響も検討された。

調査された600人の患者のうち、30%にあたる178人が疾患修飾療法を中止していた。治療を中止した患者は、治療継続した患者よりも平均2.2歳、高齢であった。彼らはMSの病歴も3.2年長かったが、治療歴は1.6年短かった。

研究チームは、結果を評価する指標として、PS(Performance scales)とPHQ9(Patient Health Questionnaire-9)を用いた。低いPSとPHQ-9の値は、より良い結果を意味している。

治療を中止したケースの68%では、医師が中止を主導していた。

治療中止した患者のうち、再発寛解型MSの患者は進行型MSの患者よりもPS値が低かった。また、医師の主導による中止は、患者の主導による中止よりもPS値が低い傾向があった。

静脈注射による疾患修飾療法(タイサブリ、ノバントロンを含む)を中止した場合には、インターフェロンを中止した場合よりもPHQ9値が高かった。

治療を中止した後、10.7%の患者は疾患修飾療法を再開していた。

研究チームは、症状の安定性だけでなく、患者の年齢も考慮された場合に、疾患修飾療法の中止が成功しやすいことを発見した。また、医師の指導により中止した場合のほうが、患者自身の判断で中止した場合よりも良い結果になることを見出した。

「60歳以上で疾患修飾療法を中止した場合には、ほとんどの患者がこの治療を中止したままだった。我々はこの結果がMS患者の加齢による変化を理解するための議論につながることを期待する」と研究チームは書いた。

「この研究は、高齢のMS患者で疾患修飾療法の中止を考慮する場合に、いくらかの安心材料となるだろう」とチームは結論付けた。









参考:Two Factors Lead to Better Outcomes when Disease-modifying Therapies Stopped, Study Finds