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抗体医薬GNbAC1は、再発寛解型の多発性硬化症(MS)患者への投与が開始されて一年後の時点で、脳の萎縮を防止し続けていることが開発会社により発表された。

GeNeuro社とServier社は、第2b相臨床試験の12か月時点での結果について報告した。

モノクローナル抗体であるGNbAC1は、有害なレトロウイルスのたんぱく質であるpHERV-Wを破壊することで、MS患者での脳の損傷を防ぐと考えられている。


抗体医薬が脳の萎縮と損傷を防ぐ



このCHANGE-MS試験(NCT02782858)は、ヨーロッパ12か国の270人の再発寛解型MS患者に対して行われた。被験者は無作為に二つのグループに分けられ、この抗体あるいはプラセボ薬を一か月に一回静脈注射された。

両社は、一年間を通してのGNbAC1による処置は、半年間のプラセボと半年間のこの抗体という処置に比べて、MS患者の脳の喪失を大幅に減少させたと言う。脳萎縮の違いは、皮質部位で31%、視床部位で72%に上った。

脳の全体を考慮すると、18 mg/kgの抗体を投与された患者ではコントロール群に比べて、脳萎縮が29%減少した。

さらに、GNbAC1で処置された患者ではNMR検査での脳のT1病変部位の数もコントロール群に比べて63%減少した。

研究者らによれば、これは臨床試験でレトロウイルスたんぱく質を標的とした治療法が有効なことが示された最初の例だという。

また別の発見として、抗体が損傷を受けたミエリンの回復を促進することが示唆された。この結論を導いたのは、磁化移動比率(magnetization transfer ratio)が試験の後半6か月間で安定していた事実だ。この比率が低下することは、MSの特徴であるミエリンの喪失と神経細胞の死に関連している。

追加の発見として、神経細胞の炎症反応のマーカーが抗体処置群とコントロール群のいずれでも改善された。この2つの条件の間で有意な差は見られなかった。このマーカーは、MRIにより測定された。

安全性では、この抗体の臓器への毒性は見られなかったとチームは言う。

「印象的なことは、1年後の時点ですでに観察されていた効果が、これらの重要な神経変性マーカーの間で一貫していることです。この効果はおそらく、抗炎症作用とは無関係であると考えられます」とHans-Peter Hartung博士はプレスリリースの中で述べた。

「これらの良い効果は、とても期待の持てるものです。MS症状の進行に対する医療上の満たされていない重要な需要に答えることに向かって、扉を開くかもしれません」と彼は加えた。

「GNbAC1の神経保護マーカーに対する好ましい影響は、MSに新しい治療法を開くもので、Servier社が現在行っている新たな、安全で効果的な患者のための治療法への努力に一致します。この共同での成果に基づいて、我々は現在、次の開発段階の評価を我々のパートナーと行い、患者に利益をもたらしていきます」とServier社の開発ディレクターであるChristian de Bodinat氏は述べた。

GeNeuro社のCEOであるJesús Martin-Garcia氏は以下のように付け加えた。「これらの発見は、HERV-Wタンパク質のMSへの病理的影響を示したという意味で、GeNeuro社にとって大きな成功です。この結果は、病気の原因となる因子を治療することで、MSの神経変性の過程を変えることができるという前臨床試験からのコンセプトを支持しています。」






参考:GeNeuro-Servier Antibody Limits RRMS Patients’ Brain Shrinkage, Phase 2b Trial Shows