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血液幹細胞移植を行うことで、再発寛解型の多発性硬化症(MS)患者の身体障害が大きく改善することが第三相臨床試験で示された。

このMIST試験(NCT00273364)には、110人の患者が参加しており、彼らはβ‐インターフェロン、コパキソン、ノバントロン、タイサブリ、ジレニア、テクフィデラなどの標準的な治療薬を服用していた。

無作為に選ばれた半数の被験者は、標準的な治療薬を継続するグループに割り当てられ、もう半分は血液幹細胞の移植を受けるグループに割り当てられた。この移植による治療法は、AHSCT(autologous haematopioietic stem cell transplantation)と呼ばれている。


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免疫システムを作り直す治療で多発性硬化症の身体障害が改善する



AHSCTは、患者の免疫システムを作り直すという激しい治療法だ。最初の段階では、患者の血液幹細胞を採取し、保存する。次に、化学療法を使って患者の免疫細胞を全て殺す。そして、最終段階として、患者に幹細胞を戻すことで免疫システムの再建を行う。

このMIST試験の第一の目標は、再発寛解型MSの進行を止める上で、幹細胞移植が既存の方法よりも有効かどうかを調べることだ。進行の指標としては、EDSS(Expanded Disability Status Scale)が用いられた。

移植から一年後、移植を受けた患者の平均EDSS値は大きく改善された。EDSS値は、低くなるほど障害の程度が低いことを意味している。移植を受けた患者の平均EDSS値は3.5から2.4へと減少した。対照的に、標準的な治療を受けた患者の平均EDSS値は3.3から3.9へと上昇した。

移植をうけた患者のうち、一年間にMSの再発を経験したのは一人だけであり、標準的治療のグループでは39人であった。

三年後には、移植を受けた患者のうち、6%を除くすべての患者で障害の進行が改善された。一方で、標準的治療を受けた患者では、60%で改善が見られなかった。

研究チームは、当初は標準的治療を受けていた30人の患者の障害が悪化したことを受けて、この患者らに対して移植療法を行った。この結果、EDSS値は5.2から2.6へと改善された。

安全性に関しては、移植を受けた患者では重篤な副作用は見られなかった。

「我々は、この大きく勇気づけられる発見によって非常に興奮しています。この第三相臨床試験でAHSCTが再発寛解型MS患者で長期に渡って有効性を持つことが初めて評価されました」とSheffield's Royal Hallamshire HospitalのBasil Sharrack氏はプレスリリースで述べた。

「この研究では、自家血液幹細胞の移植療法を受けたほとんどすべての患者で、治療から一年後でも病気の活動が見られませんでした。さらに重要なことは、治療によって身体障害の程度が大幅に改善したことです。ただし、これらは始まったばかりであり、患者はさらに5年間追跡調査されることを強調するのも大変重要です」とSharrack氏は続けた。

「このMIST試験の初期の結果は、この種の幹細胞移植が、高度に活性の再発寛解型MSの患者にとって許容できる安全性を持って提供できることを示しています」と試験の共同研究者であるJohn Snowden氏は言う。

「この治療法は残念ながらすべてのMS患者に向けたものではないことを強調することも重要です。この種の幹細胞移植が標的にしているのは、炎症期にあるMSです。」とSnowden氏は付け加えた。






参考:Blood Stem Cell Transplants Improve RRMS Patients' Disa bility, Phase 3 Trial Shows