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新たな研究により、若い時期に日光を多く浴びることによって、後の多発性硬化症の発症を防げる可能性が示された。


多発性硬化症(MS)は、免疫システムが健康な中枢神経の細胞を攻撃することによって起こる自己免疫疾患で、神経細胞を覆うミエリンが破壊される。科学者らは、この病気の発症に影響を与える因子を探してきた。

MSの患者では、病気の進行によって疲労や視覚障害、バランス障害などが起こり、生活の質が徐々に低下する傾向にある。

この病気の正確な原因は分かっていないが、リスク因子としては、遺伝的要素やライフスタイル、環境因子が知られている。

また、性別(女性が男性よりもMSを発症しやすい)、喫煙、ビタミンDの不足もリスク因子とされている。

カナダのBritish Columnbia大学の研究チームは、新しい論文の中でMSのリスクを下げるかもしれない因子を明らかにした。それは、特に女性において、子供時代と青年期をどこで過ごしたかということだ。


Neurology誌に掲載された論文の中で、Helen Tremlett氏の研究チームは、若い時期に日照時間の長い気候で過ごした場合には、その後のMSの発症を防ぐ効果が得られる可能性を指摘した。

緯度が高い地域では、短い日照時間のせいでビタミンDが不足するため、MSのリスクに影響することはこれまでに知られていた。しかし、この因子が生涯にわたって与える影響を調べたのは、今回の研究が初めてだった。

「我々は、その人が暮らす場所や日光のUV-Bを浴びる年齢が、MSのリスクを減らすために重要な役割を果たしていることを発見しました」とTremlett氏は言う。


日射量の多い地域とビタミンD



この研究の中で、Tremlett氏のチームは、MSと診断された151人の女性(発症時の平均年齢40歳)と、年齢をそろえた235人のMSでない女性のデータを分析した。

彼女らは、全員アメリカに住んでいたが、それぞれの地域の気候は大きく異なっていた。すべての参加者は、夏、冬および人生を通して、どれくらいの頻度と量の日光を浴びたかをアンケート形式で質問された。

参加者から提供された情報を基に、彼女らはUV-Bを浴びる量によって「少ない」、「中間」、「多い」の三つのグループに分けられた。

日光に曝されることは、肌の状態に悪影響を与えたり、皮膚がんの発病を引き起こす一方で、ビタミンDの生合成においては非常に重要であり、ビタミンDはMSに対する保護因子として知られている。


子供時代に日光を多く浴びるとMSのリスクが半減する



UV-Bを浴びた量によってカテゴリー分けするために、Tremlett氏のチームは彼女らが住む地域の高度、緯度および平均の雲の量も考慮した。

この分析においてチームは、参加者が日光を浴びた量は季節ごとに考慮された。例えば「高い日光量」として夏は週に10時間以上、冬は4時間以上と定義した。

日照時間の長い地域に住み、最も高いUV-Bを浴びていた参加者では、UV-B量が非常に少ない参加者らに比べてMSを発症するリスクが45%低かった。

さらに、科学者らはUV-Bを浴びた年齢も重要であることを発見した。つまり、5歳から15歳の間に日照時間の長い気候に暮らした参加者では、そうでない参加者に比べてMS発症リスクが51%低かった。

また、子供時代(5歳から15歳)に日照時間の長い気候の中で屋外で多くの時間を過ごした女性は、そうでない女性に比べてMSの発症リスクが55%低かった。

「我々の発見は、夏に屋外で長い時間を過ごして日光を浴びることでMSのリスクが下がる現象は、子供時代だけでなく若年期にも起こることを示唆しています」とTremlett氏は説明する。

「さらに、我々の研究が示しているのは、MSを発症した人々は夏と冬に日光を浴びる量が少ないことで、後の人生での健康上の結果につながったのかもしれないということです」とTremlett氏は述べた。






参考:Could a sunny climate prevent MS?