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ある幹細胞療法の第Ⅰ相臨床試験において、多発性硬化症(MS)患者の四分の三の神経症状が改善されたことがNew Yorkの研究グループから報告された。


この結果を受けて、Tisch MS Research Centerの研究グループは、この治療法の安全性と有効性を調べるための第Ⅱ相臨床試験を開始する予定だ。

間葉系幹細胞から作製された神経前駆細胞を脊柱管に直接注射するこの療法によって、20人の被験者の多くで筋肉の強度と膀胱機能も改善された。

この研究は、EBioMedicine誌に発表された。


四分の三の被験者でMS症状が改善した



被験者の80%(16人)は、二次性進行性MSだった。

被験者の半数は治験の開始時点で歩くことができず、EDSSスコアは7かそれ以上だった。8人は歩行に補助が必要で、EDSSスコアは6から6.5であった。2人は補助なしで歩行が可能で、EDSSスコアは3.5から5.5だった。

幹細胞療法は、20人の被験者のうち15人で神経症状を改善した。残りの二人は症状が悪化し、三人は変化しなかった。

14人の患者は治療後に主に下肢の筋肉強度が改善した。治験開始時点で歩くことができた10人のうち、四人で運動能力のスコアが20%かそれ以上改善した。また、治験開始時点で歩行ができなかった患者のうち二人は、補助器具を使って歩くことができるようになった。

治療に反応した患者では、EDSSスコアが0.5から2.0改善した。

この幹細胞療法では、膀胱機能に問題のある患者の半数でその機能が改善した。数人の患者では、膀胱の薬を止めることが可能であった。

この療法による重篤な副作用は見られなかった。85%の患者で治療後24時間で頭痛と発熱の症状が見られたが、標準的な薬によって対処が可能であった。


神経疾患の症状を回復させる治療



この療法では、患者自身に由来する幹細胞が、三か月ごとに三回注射される。患者は、感染のリスクを下げるために抗生物質も投与された。

研究者らは、冷蔵保存された細胞よりも、新鮮な細胞を用いた。これが良い結果につながったかもしれないと彼らは述べた。

ニュースリリースの中でTisch centerのViolaine Harris博士は、「我々の開発した方法では、採取して30分以内に幹細胞を届けることができます」と述べた。

同じくTisch centerのSaud A. Sadiq博士は、「この第Ⅰ相臨床試験の結果は、FDAに承認された第Ⅱ相臨床試験で多数の患者での試験を行うことを正当化します」と言う。

「我々は、これらの新しい研究がMS患者の障害を回復させる治療の基礎をつくると考えています。もし成功すれば、他の神経疾患も治療できるかもしれないという好ましい兆候を示すことができるでしょう」とSadiq博士は加えた。





参考:Stem Cell Treatment Benefits Three-fourth of MS Patients in Phase I Trial