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多発性硬化症(MS)の妊婦が妊娠初期にタイサブリによる治療を受けた場合、治療を受けない場合やβ‐インターフェロンによる治療の場合に比べて、胎児の流産や先天性異常のリスクが上昇することが報告された。


妊娠前から長期間、MS治療を行わず、出産後一か月で治療再開した場合には、母親のMS再発リスクが上昇することも明らかになった。

これらの結果は、イタリアの複数の医療機関から集められたデータを基に明らかにされ、Neurology誌に発表された。

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薬剤の胎児への影響



タイサブリなどの疾患修飾療法の臨床試験の期間中は、通常、被験者の女性は避妊措置をとらねばならず、妊娠した場合には試験から外される。そのため、治療の妊婦への影響は不明であり、MSが妊娠適齢期の女性が多くかかる病気ことを考慮すると、重大な知識のギャップが生じている。

研究グループは、イタリア中の19の医療機関から、2009年から2015年の間にタイサブリの治療を受けた女性で妊娠したケースをすべて集めた。

一つ目の論文で彼らは、流産と主要な先天異常に注目し、治療を受けなかった女性およびβ‐インターフェロンによる治療を受けた女性との妊娠結果の比較を行った。また、イタリアの一般集団との比較も行った。

彼らは、タイサブリによる再発寛解型MSの治療を受けた女性83人の92件の妊娠例を抽出し、これらの女性を六か月間毎に追跡調査し、出産の一年後に再び調査した。

分析によって、妊娠初期の三か月間にタイサブリに曝された場合には、流産のリスクが17.4%であり、薬物治療を受けなかった場合やβ‐インターフェロンの治療を受けた場合(コントロール群)に比べて高かった。重大な先天障害のリスクは、タイサブリ治療を受けた場合は3.7%で、コントロール群よりも高かった。

タイサブリによって流産と先天障害のリスクは高まったものの、これらは一般の人々で推定される数字の範囲内に収まっていた。


母体のMS再発への影響



二つ目の論文では、母親におけるMS再発のリスクが報告された。

女性が妊娠初期にタイサブリによる治療を受けた場合には、コントロール群に比べて妊娠中および出産後のMS再発率が三倍高かった。

妊娠前に長期間の無治療期間をとった場合には、妊娠期間中の再発率が上昇した。病気の進行により影響された女性は、コントロール群で13%、タイサブリ群で16%であった。ただし、出産後一か月でタイサブリによる治療を再開した場合には低下した。

これらの結果は、長期間の無治療期間を避け、出産後に速やかに治療を再開することで症状の再発リスクを減らせる可能性を示している。

National MS SocietyのKathleen Costello氏は、「この研究は、MSの女性や赤ちゃんが妊娠中の疾患修飾療法で受ける影響について、重要な情報を加えています。ただし、妊娠中に疾患修飾療法を行うかどうかは、ひとつの調査だけによって決定されるべきではありません。患者や医療関係者が治療のリスクと利点を考慮した上で、最適な方法を決定するべきです」と述べた。





参考:Italian study examines Tysabri and risk for miscarriage and birth defects