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多発性硬化症(MS)の治療薬として広く使われるβ‐インターフェロンの潜在的な副作用が、包括的な研究で明らかにされた。


この研究は、再発寛解型MSに対するβ‐インターフェロンの潜在的な副作用を明らかにすることを目的に行われた。1995年から2008年までのカナダ、ブリティッシュコロンビア州のMS患者2000人の医療記録が分析された。

研究の結果、β‐インターフェロンを用いたMS治療によって、心臓発作、片頭痛、うつ病、血液の異常のリスクが上昇することが明らかになった。

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「β‐インターフェロンは、一般的に安全だと考えられており、新しいMS治療薬と比べても高い安全性を持っています。今回の研究結果は、この事実を変えるものではありません」と、Canada Research Chair in NeuroepidemiologyのTremlett氏は言う。「しかしながら、その臨床における安全性について、包括的かつ定量的な調査は非常に限られていました。我々の発見は、過去の観察結果を補足し、拡張するものです。」

今回の研究では、β‐インターフェロンによって、心臓発作のリスクは1.8倍上昇し、片頭痛のリスクは1.6倍、うつ病と血液異常のリスクはともに1.3倍上昇した。ただし、研究者らは今回の結果が、必ずしもMS治療プランの変更を迫るものではないと強調する。この調査はあくまで統計的なデータに基づくものであり、個々の患者のβ‐インターフェロンへの反応は、その患者の持つ因子によって大きく変わるからだ。

Tremlett氏は、今回の研究がきっかけとなって、より副作用の影響を受けやすい患者を特定するためのバイオマーカーに関する研究が進むことを期待している。

「さらなる研究の進展によって、患者ごとに個別化された精密な医療が可能になり、副作用のリスクが高い患者を特定できるようになるかもしれません。これは、個人の治療方針を議論する上で助けになるでしょう」と彼女は述べる。

「MS患者にとって、治療による利益とリスクを常に考慮することが重要です。そして、食事や運動などの補助的な方法によって、脳の健康状態を保つことも重要です」と、MS Clinic at UBCのAnthony Traboulsee医師は述べる。

望ましくない副作用だけではなく、今回の研究ではβ‐インターフェロンによる好ましい影響も明らかになった。研究チームは、2年以上のβ‐インターフェロンによる治療で気管支炎や気道感染症のリスクが減少することを明らかにした。これらの感染症は、MS患者で問題になりうる一般的な症状だ。






参考:Researchers uncover potential risks of common MS treatment