headache_1


男性ホルモンであるテストステロンと免疫システムの関係の研究を通して、多発性硬化症を防ぐかもしれない新たな分子が発見された。


Proceedings of the National Academy of Science誌に発表された論文で、ノースウェスタン大学の研究チームがメスのマウスで多発性硬化症の症状を取り除く”保護分子”を発見したことを報告した。

多発性硬化症(MS)は、免疫細胞が神経細胞の周囲を保護するミエリン鞘を攻撃することにより発症する。症状は多岐にわたり、運動制御の失調、筋肉の弱化、痛み、感覚器の乱れ、認知機能の不全などが含まれる。

SPONSORED LINK


多発性硬化症は男性よりも女性で多く見られる



MSの患者は、全世界で250万人いると推定されている。

論文の中で研究チームは、男性よりも女性はMSなどの自己免疫疾患にかかりやすく、性ホルモンが明らかに影響していると説明する。
 
さらに、女性は男性よりも若い年齢でMSを発症しやすく、再発寛解型MSにかかりやすい。

一方で、男性はより高齢で発症しやすく、進行型MSの症状を示すことが多い。

男性のMSは、加齢に伴うテストステロンの減少に密接に関わっている。しかしながら、細胞や分子レベルでのメカニズムは不明であった。


保護分子IL-33が免疫系からの攻撃を防ぐ



MSのモデルマウスを用いた実験で、研究チームはテストステロンが免疫細胞の一種であるマスト細胞に作用し、インターロイキン33(IL-33)と呼ばれるシグナル分子をオスのマウスで分泌させることを発見した。

IL-33はいわば”保護分子”として働き、ミエリン鞘の攻撃に関わる免疫細胞であるTh-17細胞の働きを防ぐための化学反応を引き起こす。

彼らはまた、メスのマウスでIL-33の保護作用が働かない場合には、Th-17細胞による神経の破壊が起こるが、IL-33を作用させることでこの神経の破壊が回復することも発見した。

研究を主導したBrown教授は、「テストステロンの量は、成人女性では男性に比べて7から8倍少ないため、今回発見された保護作用を起こすには不足であると考えています。しかし、保護分子であるIL-33を活性化することで、この経路を活性化することができます」と述べる。

研究者らは、今回の発見がMSの新たな効果的治療法の開発につながると期待している。

現在、期待されている治療法のほとんどは、免疫系の働きを抑えることによっているが、これは患者を感染症の危険にさらす可能性がある。より特異的な免疫経路に働く治療法が開発されれば、この感染症のリスクを下げることができる。

我々の発見は、新規かつより特異的な免疫への介入のための細胞および分子標的を明らかにしました。この発見が、免疫系への影響を最小限にとどめるより良い治療法へとつながることを期待しています。

‐Melissa A. Brown教授

研究チームは、この経路が女性に多くみられる他の自己免疫疾患の発症メカニズムに関連しているかどうかを調べるため、さらに研究を進めたいとしている。






参考:Multiple sclerosis: 'Guardian molecule' may lead to new treatment