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今年2月に報告された小規模な臨床試験によって、化学療法と幹細胞移植の組み合わせで再発寛解型多発性硬化症の患者の三分の二以上が5年間以上の寛解に至ることが明らかになった。


Richard Nash博士らの研究グループは、HALT-MSと呼ばれる第二相臨床試験の最終報告をNeurology誌に発表した。

再発寛解型多発性硬化症(Relapsing-remitting multiple sclerosis, RRMS)は最も一般的な形のMSで、全診断の85%を占める。

MSでは、中枢神経の神経軸索を守る組織であるミエリンを免疫細胞が誤って攻撃することによって引き起こされる。症状には、筋肉の弱化、歩行やバランスの障害、慢性的な痛みなどがある。MS患者には、疲れ、めまい、認知機能の障害、視覚障害なども現れる。

RRMSでは、これらの症状の再発と消失(寛解)が繰り返される。今のところ、症状の再発とうまく付き合っていくための薬は数多くあるが、MSの根本的な治療法は存在しない。

しかし、新たな研究によって、一度の高投与量の免疫抑制療法(high-dose immunosupressive therapy, HDIT)と自家造血細胞移植(hematopoietic cell transplantation, HCT)によって長期間の寛解が得られる可能性が報告された。

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ほとんどの患者がHDIT/HCT治療の5年後に寛解状態にあった



HDIT/HCT治療の目標は、MSを引き起こす細胞をすべて体から取り除くことだ。

この治療法では、患者の造血幹細胞を採取した後に、高投与量の化学療法により患者の免疫システムをいったん破壊する。そして、造血幹細胞を体に戻すことによって免疫システムを効果的に「リセット」することができる。

2014年にNash博士らの研究チームは、HDIT/HCTの第二相臨床試験の三年目の結果を報告している。この中で研究チームは、HDIT/HCTを受けた患者の80%で症状の再発や障害の悪化、あるいは脳の病変の新たな形成がみられないことを報告していた。

今回の研究では、HDIT/HCT治療から5年後の結果が評価された。彼らは、69%の患者でまだ症状の際hつや障害の悪化、脳の損傷の新たな形成がないことを発見した。

重要なことは、これらの患者は誰もHDIT/HCT治療を受けて以来、MSの薬を服用してないということだ。

HDIT/HCTの副作用としては、血球減少と感染症が報告されている。5年目の追跡では、3人の患者が死亡していたが、研究チームは彼らの死はHDIT/HCTとは無関係であるとしている。

HDIT/HCTの有効性や安全性は、さらなる研究で検証されなければいけないが、Nash博士らは今までの結果に勇気づけられている。

もしこれらの発見が大規模な臨床試験で確認されれば、HDIT/HCTは活動的なRRMSの患者、特に既存の治療法に反応しない患者に対して、潜在的な治療の選択肢になりえるだろう。

- Dr. Daniel Rostrosen, director of the Division of Allegy, Immunology, and Transplantation, NIAID





【参考記事】 
Multiple sclerosis: 'Resetting' immune system may achieve long-term remission (Medical News Today)