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新たな研究により、一般的な抗酸化剤が多発性硬化症の進行を遅らせる可能性が発見された。 


予備研究により、研究者らは高投与量のα‐リポ酸(lipoic acid)を二年間毎日服用することで、進行型多発性硬化症による脳の萎縮が、プラセボ群に比べて軽減されることを発見した。

研究を率いたのはOregon Health & Science University School of MedicineのRebecca Spain博士で、論文はNeuroimmunology & Neuroinflammation誌に掲載された。

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多発性硬化症



多発性硬化症(Multiple Sclerosis, MS)は、進行性の神経疾患で、世界中で230万人の患者がいると推定されている。

MSでは、免疫システムが誤って中枢神経の神経細胞を覆う髄鞘を攻撃することにより、神経シグナル伝達が阻まれることによって起こる。症状としては、筋肉の弱化、歩行の困難、痺れ、痛みなどが現れる。

再発寛解型MS(Relapsing-remising MS)は、MSの最も一般的な形で、症状の消失と再発が繰り返される。

再発寛解型MSの患者の一部は、進行型MS(Progressive MS)へと進み、進行型MSでは症状が持続的に表れて、徐々に悪化していく。

現状では進行型MSの根本的な治療法はなく、疾患修飾療法によって症状の進行を遅らせる処置がとられる。

今回のヒトでの予備試験において、Spain博士とその研究チームは、天然由来の抗酸化成分であるα‐リポ酸が進行型MSでの全脳萎縮を低減することを発見した。α‐リポ酸は、一般的なサプリメントとしても利用される成分だが、これが進行型MSに対する効果的な対処法になるかもしれない。


α‐リポ酸はオクレリズマブよりも優れている



彼らの無作為的、二重盲検法による臨床試験では、進行性MS患者の40歳から70歳の51人の成人が対象とされた。

被験者らは無作為に二つのグループに分けられ、一方の27人のグループは、一日1,200 mgのα‐リポ酸を二年間毎日服用し、他方の24人のグループはプラセボ薬を服用した。

そして、被験者の脳のサイズをMRIにより一年毎に計測した。

測定の結果、プラセボ群と比較して、α‐リポ酸を服用したグループでは、全脳萎縮の速度が68%低減されることが明らかになった。

比較として研究チームは、最近FDAにより認可された一次性進行性MSの薬であるオクレリズマブに言及し、臨床試験において、この薬による全脳萎縮の改善は18%に留まったことを指摘している。

さらに今回の研究では、α‐リポ酸を服用した患者ではプラセボ群に比べて、転倒の回数が減り、歩行する時間が改善したことも報告された。

重要なことに、α‐リポ酸は総じて安全であり、良く見られる消化器の不調という副作用も多くの患者にとって許容できる範囲であることを研究チームは発見した。

しかしながら、α‐リポ酸が進行型MSの効果的な対処法として推薦されるためには、さらに大規模な試験が必要であると研究チームは指摘した。

これらは高投与量です。安全だとは思われるものの、実際に患者の生活を改善するかどうかは、より大規模な試験によってこの予備研究の結果が再現されるまではわかりません。

幸運なことに、ボランティアの被験者の協力によって、我々はこの質問に対する答えをじきに得られると見ています。

- Rebecca Spain

今回の予備的研究の結果をもとに、研究者らは現在、複数の場所での臨床試験を計画中だという。





【参考記事】
Multiple sclerosis: Antioxidant may slow disease progression (Medical News Today)