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研究者らは、サナダ虫の治療に使われる薬がパーキンソン病に関連する神経損傷を防止する可能性があることを突き止めた。この発見により、パーキンソン病での神経損傷を遅らせ、防止する方法の確立に一歩近づいたかもしれない。


米国NIHの推定によれば、全米には50万人のパーキンソン病患者がおり、毎年新たに5万人がパーキンソン病と診断されている。日本では、平成26年には13.6万人のパーキンソン病関連疾患が報告されている(難病情報センター)。

この病気には未だ確立された治療法がなく、病気の原因や治療法に関する研究が盛んにおこなわれている。


最近、PINK1と呼ばれるタンパク質が神経への保護作用があるのではないかと注目を集めている。

今年には、オーストラリアのUniversity of Dundeeの研究チームが、PINK1の構造を解き明かしたことを報告している。この成果は、PINK1を標的としたパーキンソン病治療薬の開発に役立つと期待される。

そして今回、University of DundeeとイギリスのUniversity of Cardiffの共同研究チームは、そのような薬を発見したのかもしれない。

Youcef Mehellou博士に率いられた研究チームは、寄生虫であるサナダ虫に対する治療として通常は用いられる薬が、パーキンソン病に関連する神経損傷を防ぐ可能性を示した。この論文は、Chembiochem誌に掲載された。


サナダ虫の薬がPINK1を活性化する



この薬はニクロサミド(niclosamide)と呼ばれ、今回の研究によりPINK1を活性化することが明らかになった。

さらに、この研究により、ニクロサミドとその類縁体が脳細胞と神経細胞でPINK1のパフォーマンスを上昇させることも報告された。注目すべきことに、この論文はPINK1-Parkin経路の活性化を神経細胞で検出した初めての例であり、小分子の薬で活性化されうることも証明した。

ニクロサミドはすでに寄生虫薬として50年間使われてきた薬である。そして、この薬のがんや関節リウマチへの効果について現在、臨床試験が行われている。

既存薬の転用は、費用対効果に優れた難治性疾患の治療法開発につながりうる。

研究者らは、論文中でのように述べた。

我々のデータは、ニクロサミドとその類縁体がパーキンソン病の進行を遅らせる治療効果を持つ可能性を示している。

ニクロサミドを使うことで、初代培養神経細胞においてPINK1経路が活性で検出可能であることを初めて示すことができた。

我々の発見は、ニクロサミドとその類縁体がPINK1経路を研究する上で信頼性の高い化合物であることを示し、さらにパーキンソン病と関連疾患の治療戦略へとつながる希望を示しているかもしれない。

Mehellou博士は、次の段階として疾患モデル動物を用いてニクロサミドの有用性を評価したいとしている。





【参考記事】
Parkinson's: Could this existing drug halt disease progression? (Medical News Today)