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多くの研究が、アルツハイマー病を防止する上でのAPOE遺伝子の重要性を指摘し始めているが、実際に生きた動物でその効果を実証した例は少ない。新たな研究はAPOE遺伝子に対抗する分子を用い、生きたマウスでアルツハイマー病による脳の損傷が半減することを示した。


APOE遺伝子は、アポリポプロテインEというタンパク質をコードする遺伝子で、アルツハイマー病のリスク上昇に関わることが知られている。

実際に、この遺伝子のE4変異体は、最も一般的なアルツハイマー病のリスクファクターで、患者の半数でこの遺伝子が発現している。

また、これまでの研究によって、この変異体を2コピー持つ場合はアルツハイマー病の発症リスクが12倍に上昇することが知られている。

新たな研究の中で、Washington University School of MedicineのHoltzman博士らの研究チームは、APOE遺伝子の発現を抑えるアンチセンスオリゴヌクレオチドと呼ばれる化合物を用いた。

そして、この化合物によってAPOEタンパク質の発現を抑制すると、マウスの脳のダメージが半減すると言う結果をNeuron誌に報告した。

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アンチセンスオリゴヌクレオチドがマウスの脳損傷を半減させる



研究チームは、アルツハイマー病のモデルマウスを用いて研究を行った。マウスの新生児にAPOE遺伝子に対するオリゴヌクレオチドが投与され、対照群には食塩水あるいはプラセボのオリゴヌクレオチドが投与された。

対照群に比べて、APOEに対するオリゴヌクレオチドを投与されたマウスは、APOEタンパク質の発現が半分になった。

二か月後に再びオリゴヌクレオチドあるいは食塩水が投与され、さらに二か月後に脳の状態が検査された。

通常、このマウスは生後四か月の時点で、アルツハイマー病の特徴的な病変であるアミロイドβタンパク質によるプラークが観察される。

しかしながら、APOEのアンチセンスオリゴを投与されたマウスでは、アミロイドプラークの数が半数になっていた。さらに、各プラークの引き起こした神経細胞へのダメージも、対照群に比べて半減していた。これは、APOEの阻害によってアルツハイマー病による神経障害が抑えられたことを示している。

次に研究チームは、すでに形成されたプラークに対するオリゴヌクレオチドの影響を検討した。


オリゴヌクレオチドはプラーク形成前に投与される方が良い



研究チームは、生後6週間のモデルマウスにオリゴヌクレオチドあるいは食塩水を投与した。

モデルマウスの脳では、APOEオリゴヌクレオチドによるプラーク数の減少は見られなかった。しかし、各プラークによる神経細胞への損傷は、対照群に比べて半減することが発見された。

Holtzmann博士は今回の発見に対して、
遅れて治療を始めたとしても、プラークによる神経細胞への損傷は減らせるかもしれない。今ではAPOEを治療標的とできることが判明したので、これからそのための最善の方法を探すことになる。今回の我々の発見は、APOEが単にアルツハイマー病のリスクと進行に関与しているというだけでなく、真の治療や予防のための標的となりうることを示している。
と結論付けた。





【論文】
Age-Dependent Effects of apoE Reduction Using Antisense Oligonucleotides in a Model of β-amyloidosis (Neuron, 2017)

【参考記事】
Alzheimer's brain damage halved with gene-targeting compound (Medical News Today)