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睡眠時無呼吸は、現在のところ有効な治療法がない。しかし、これまでで最も大規模な臨床試験によって、大麻由来の向精神成分がこの症状の治療に有効な可能性が報告された。


大麻に含まれるテトラヒドロカンナビノール(tetrahydrocannabinol)は、大麻による高揚感を引き起こす化合物で、一般にはドロナビノール(dronabinol)の名前でも知られている。ドロナビノールはすでに、化学療法の副作用である吐き気や嘔吐に対して臨床適用されている。

イリノイ大学らの共同研究チームによる臨床試験によれば、ドロナビノールを一錠飲むことで、睡眠時無呼吸の症状を一晩中抑えることができるかもしれない。


睡眠時無呼吸


睡眠時無呼吸(sleep apnea)は、寝ている間に呼吸停止が繰り返される症状で、酸素不足により脳や身体に大きな負担がかかる。

頻発する睡眠時無呼吸を放置すると、心臓病や心臓発作を引き起こす恐れがある。

閉塞性睡眠時無呼吸の治療としては、持続陽圧呼吸療法(CPAP)とよばれる装置によって気道を広げる処置がとられるが、患者による継続性が悪いという問題があり、睡眠時無呼吸に対するより有効な治療法の開発が強く求められている。

今回の臨床試験で用いられたドロナビノールは、気道上部の筋肉を制御する脳や神経を標的にしたもので、神経伝達物質に影響することで筋肉と脳の連携を変化させる。


睡眠時無呼吸の患者でのドロナビノールの臨床試験


研究チームは、73人の中程度から重度の睡眠時無呼吸の患者を集め、彼らを三つのグループに分けた。一つ目のグループは低投与量のドロナビノールを服用し、二つ目のグループは高投与量のドロナビノール、三つ目はプラセボ薬を投与された。

被験者は毎日、就寝の一時間前に薬を服用し、これを6週間続けた。

被験者の眠気と覚醒の状態は、標準的な試験によって評価され、無呼吸低呼吸指数が算出された。

高投与量(10 mg)のドロナビノールを服用したグループでは、無呼吸や低呼吸の頻度が減少し、被験者による主観的な眠気も減少の兆候を示した。また、治療への満足度も最も高く評価された。

さらに、CPAP装置による治療に比べて、ドロナビノールは無呼吸の症状を33%減少させた。


まとめ


ドロナビノールが睡眠時無呼吸の治療薬となるには、今後、より大規模な臨床試験が必要となる。

また、研究者らは、大麻を吸入しても今回の試験と同じ結果は得られないと警告した。大麻には何十もの活性な化合物が含まれているが、今回試験されたのはテトラヒドロカンナビノールのみである。

しかしながら、今回の発見は睡眠時無呼吸の治療薬としてのドロナビノールの可能性を示したと言える。初の睡眠時無呼吸の治療薬への道を示すことによって、臨床での使用に大きな影響を与えられるのではないかと研究者は述べた。





【論文】
Pharmacotherapy of Apnea by Cannabimimetic Enhancement, the PACE Clinical Trial: Effects of Dronabinol in Obstructive Sleep Apnea (Sleep, 2017)

【参考記事】
Cannabinoid drug found effective for treating sleep apnea (Medical News Today)