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最近の研究によって、片頭痛治療において非常に重要な一歩が踏み出された。エレヌマブ(erenumab)と呼ばれる新薬が、片頭痛の症状が表れる頻度を半減させるという結果が報告された。


最近New England Journal of Medicine誌に報告された第三相臨床試験の結果によれば、エレヌマブの治療を受けた反復性の片頭痛患者の半数で、症状が表れる日数が半分以下になったという。


片頭痛


片頭痛は、患者を消耗させる病気で、非常に広く見られる。米国では、大人と子供の12%がこの症状に苦しんでいる。

ただのひどい頭痛というだけでなく、片頭痛では脳の片側または両側での脈を打つようなひどい痛みが現れるという特徴がある。時には、吐き気、嘔吐、痺れ、顔や四肢の痛み、光や音への過敏、視覚障害などの症状が合わせて現れる。

片頭痛は、通常4から72時間にわたって続く。月に14日間以下、片頭痛の症状が現れる場合は反復性片頭痛 (episodic migraine)と呼ばれ、15日間以上の場合は慢性片頭痛(chronic migraine)に分類される。

現在までに片頭痛の有効な治療法は確立されておらず、予防策として未公認の医薬品や医薬品でない方法が用いられる。新たな治療法への試行錯誤が続けられている。

片頭痛はその原因が明らかになっておらず、そのため治療薬の開発は非常に困難だ。しかし、新たな研究によって、片頭痛の新薬であるエレヌマブが承認へと大きく一歩近づいた。


片頭痛とエレヌマブ


過去の研究によって、神経ペプチドであるcalcitonin gene-related peptide (CGRP)が片頭痛の発症に関わっていることが知られていた。

Novartis社によって開発されたエレヌマブは、CGRP受容体を阻害するモノクローナル抗体だ。

エレヌマブの第三相臨床試験は、無作為化、二重盲検法、プラセボ対照の条件で行われ、955人の反復性片頭痛患者が対象とされた。

被験者は、無作為に三つのグループに振り分けられた。317人は、月に一度70 mgのエレヌマブを投与され、319人は月に一度140 mgを投与された。残りの319人はプラセボ薬を投与された。エレヌマブの投与は皮下注射で行われた。

試験開始時点で、被験者は月に平均8.3日の片頭痛を経験していた。研究チームは、エレヌマブの投与開始から4、5、6か月の時点で片頭痛の発生頻度がどのように変化するかを検討した。


エレヌマブは片頭痛の頻度を半減させる


140 mgのエレヌマブを投与された患者では、片頭痛の発生頻度が月に平均3.7回減少した。また、70 mgのエレヌマブを投与された患者でも、片頭痛の頻度が月平均3.2回減少した。一方で、プラセボ群では片頭痛の頻度減少は平均1.8回に留まった。

患者を個別に見ていくと、片頭痛の発生頻度が半分以下になった患者は、70 mgのエレヌマブを投与された被験者で43.3%、140 mgの場合は50%に上った。プラセボ群では、片頭痛の発生頻度が半減した患者は26.6%だけであった。

さらに研究チームは、エレヌマブによって片頭痛由来の身体能力の減損が抑えられることを見出した。

また、患者から報告された急性片頭痛の治療薬を使用する頻度も減少した。

この結果から、研究者はエレヌマブによるCGRP受容体の阻害が、片頭痛の予防と症状の軽減に有効な方法であることは明らかであると考えている。

エレヌマブの長期間での安全性は今後の追跡調査で検討される必要があるとしながらも、研究チームはエレヌマブが片頭痛患者にとって有効な治療法になると期待している。





【論文】
A Controlled Trial of Erenumab for Episodic Migraine (New England Journal of Medicine)


【参考記事】
Migraine breakthrough: New drug halves attacks (Medical News Today)