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フィンランドの女性を対象に行われた大規模調査によって、 ビタミンD不足が多発性硬化症の発症リスクを高めることが示唆された。ビタミンDは、この病気の発症を予測するための有用なマーカーになるだろう。一方で、ビタミンD不足を解消することで、発症リスクを下げられるかもしれない。


多発性硬化症(Multiple Sclerosis, MS)は、患者を消耗させる神経疾患で、その発症原因は今のところ正確には分かっていない。ただし、女性は男性よりもMSの発症リスクが高いことは知られている。

今回の新たな研究によって、MS発症のリスクファクターとしてビタミンDの不足が発見された。この研究は、Neurology誌上で発表された。


ビタミンDと多発性硬化症の発症リスクの関係を調査


過去の小規模な研究により、ビタミンD不足がMS発症を予測するファクターとして使えることが示唆されていたが、今回はアメリカの研究チームによってより大規模なコホート研究が行われた。

研究チームは、80万人以上のフィンランド女性の血液検査のデータをFinnish Maternity Cohortより入手し、分析対象とした。

次に国の医療レジストリから、血液検査から9年間の間にMSと診断された女性を抽出し、全ての参加者のうちで1092人をMS患者として特定した。そして、対照群として年齢が同じ2123人のMSを発症していない女性を選び、MS患者と比較した。


ビタミンDの欠乏はMS発症リスクを高める


研究チームは、ビタミンDの血中濃度が30 nM(ナノモーラー)以下をビタミンD欠乏と定義した。また、ビタミンD濃度が30 nMから49 nMの場合をビタミンD不足と定義し、50 nM以上を通常のレベルとした。

研究者らは、条件付きロジスティック回帰分析を用いて、影響を与えうる要因を補正した。例えば、血液検査が行われた時の年齢や妊娠回数などがそれに含まれる。

MS患者のうち、58%がビタミンD欠乏に該当し、一方でMSでない女性は52%がビタミンD欠乏であった。フィンランド女性は歴史的にビタミンDレベルが低いことが知られている。

面白いことに、ビタミンD欠乏の女性では、ビタミンDが通常レベルの女性に比べて、MSを発症する確率が43%上昇していた。

ビタミンD欠乏とビタミンD不足の女性を比較すると、ビタミンD欠乏の女性がMSを発症する確率が27%高かった。

さらに、ビタミンDの血中濃度が50 nM上昇する毎に、MS発症リスクが39%減少するという関係が発見された。


まとめ


今回の発見は、若年および中年時のビタミンD不足を解消することで、将来のMS発症リスクを下げられる可能性を示唆している。

ただし、今回の研究は白人女性のみを対象にしたものであり、そのほかの人種にもこの結果が当てはまるかどうかは、今後検証される必要がある。

また、適切なビタミンDの摂取量についても、今後臨床試験などによる検討が必要である。





【論文】
25-Hydroxyvitamin D deficiency and risk of MS among women in the Finnish Maternity Cohort (Neurology, 2017)

【参考記事】
Multiple Sclerosis: Vitamin D deficiency may predict onset (Medical News Today)