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新たな研究によって、脳への損傷が長期的な影響を及ぼすことが示唆された。青年期に脳震とうを経験した人は後に多発性硬化症を発症するリスクが高まるかもしれない。


脳震とうは、外傷性の脳損傷のひとつで、意識の喪失、めまい、バランスの失調、態度や気分の変化、記憶障害、混乱などがある。これらの症状は通常、脳の損傷の直後に現れるが、数日後に現れることもある。

新たな研究によって、青年期の脳震とうの経験が、後に多発性硬化症(Multiple Sclerosis, MS)を発症するリスクに関係があることが報告された。この論文は、Annals of Neurology誌に掲載された。


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脳震とうとMSの関係


多発性硬化症(MS)は、世界で230万人が影響を受けているとされる病気で、自己免疫反応により中枢神経の神経細胞のミエリンが破壊されることで発症する。

研究チームは、National Swedish MS Registerのデータから、7292人のMS患者を抽出した。全ての患者は1964年以降に生まれ、1964年から2012年の間にMSと診断を受けていた。

それぞれのMS患者に対して、同じ性別、年齢、居住地だがMSでない対照者10人が選定され、合計80,212人の被験者が分析の対象になった。

このデータから、研究チームは子供時代(0から10歳)あるいは青年期(11歳から20歳)に脳震とうを経験している人を抽出した。


青年期の脳震とうはMS発症のリスクを二倍に上げる


子供時代の脳震とうとMS発症のリスクには関連がみられなかった。

その一方で、青年期に脳震とうを一度経験した場合は、後にMSを発症する確率が22%上昇していた。さらに、脳震とうを青年期に複数回経験した場合には、MSのリスクが二倍以上に上昇することが明らかになった。

過去の研究により、青年期の脳震とうが脳における異常な免疫反応を引き起こすことが示唆されており、研究チームはこの現象が、脳震とうとMSの関連性を説明すると考えている。

つまり、青年期に繰り返し脳震とうを経験した場合には、中枢神経での異常な免疫反応を引き起こすことで、後にMSのリスクを増大させていると考えられる。


まとめ


脳震とうはスポーツやレクリエーションの際にしばしば起こっており、米国CDCによれば2012年に米国で脳震とうを起こして治療を受けた人は329,290人に上っている。

今回の発見により、青年期に頭部を保護しなければいけない理由がさらに一つ追加されたと言える。





【論文】
Concussion in adolescence and risk of multiple sclerosis (Annals of Neurology)

【参考記事】
Teenage concussion linked to later risk of MS (Medical News Today)