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新たなメタアナリシスによって、女性のビタミンDの状態と生殖補助医療の成功率の間には相関があると結論付けられた。


不妊症と生殖補助医療


不妊症は広く一般にみられる苦痛を伴う問題で、米国では610万組のカップルが影響されていると推定される。これは、妊娠可能年齢の全てのカップルの10%に相当する。

生殖補助医療(Assisted Reproduction Therapy, ART)である体外受精(in vitro fertilization, IVF)や排卵誘発剤(fertility medication)の使用は、最近では広く用いられるようになってきており、その成功率も上昇している。

体外受精の成功率は女性の年齢や病院に依存するが、米国では13%から43%とされている。

初期においては、生殖補助医療の成功率は、受精卵の選別法を改良することにより上昇してきた。しかし、より最近ではその成功率の上昇は伸び悩み始めている。


ビタミンDと妊娠


研究者らは、生殖補助医療の成功率をさらに上げるために、様々な要素の検討を行っており、一部の研究者はビタミンDの可能性について研究を行ってきた。

ビタミンDは主に、日光を浴びることで肌において産生される。つまり、日照時間が短く寒い地域の人々やめったに外出しない人、あるいは服で覆うことで肌を日光に晒さない人はビタミンD不足の影響を受けやすいということだ。

妊娠とビタミンDの関係については、これまでに多くの研究で示唆されてきた。例えば、ビタミンDの受容体や酵素が子宮内膜にあることが知られている。また、動物実験ではビタミンD不足が妊娠を阻害し、生殖器官の機能を損なうことが示されている。

人間では、ビタミンDの不足が子癇前症や妊娠高血圧、妊娠糖尿病、そして低い出生体重につながることが知られている。


ビタミンD不足と生殖補助医療の低い成功率


Birmingham大学などの研究者らは、これまでに行われた11の研究から2700人の生殖補助医療を受けた女性を対象に、メタアナリシスを行った。この論文はHuman Reproduction誌に発表された。

今回の対象となったのは、体外受精、顕微授精、凍結胚移植のいずれか、または複数を行った女性だ。

全ての対象者のビタミンD量が血液検査によって測定された。ビタミンDの濃度は、75 nM(ナノモーラー)以上であれば十分とされ、75 nM以下50 nM以上では不足とされ、50 nM以下では欠乏とみなされる。

分析の結果、十分なビタミンD量を持つ女性は、ビタミンD欠乏の女性に比べて三分の一高い確率で、出産に成功することが明らかになった。これは、妊娠検査による陽性や臨床妊娠についても同様の傾向が見られた。

ビタミンD不足の女性と比べると、ビタミンD量が十分な女性は妊娠検査陽性で46%、臨床妊娠で34%高い確率で成功していた。

流産とビタミンDの相関については、今回の分析では発見されなかった。

また、今回の研究のもう一つの発見は、ビタミンD量が十分でない女性がかなり多いということだ。対象となった女性で、ビタミンDが十分とされたのは26%に留まり、ビタミンD不足が45%、ビタミンD欠乏が35%であった。


まとめ


今回の分析によってビタミンDと生殖補助医療の成功率の間の相関は示されたが、ビタミンDを投与することによって成功率が上昇するかどうかは、また別の臨床試験によって検証される必要がある。

過剰なビタミンDは体内のカルシウム濃度を上昇させ、骨を弱めて心臓や腎臓を傷める危険があるので、適切な使用量を守ることが重要だ。





【論文】
Vitamin D and assisted reproductive treatment outcome: a systematic review and meta-analysis (Human Reproduction, 2017)

【参考記事】
Fertility treatment: Vitamin D may influence success rate (Medical News Today)