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新しい研究によって、抗原虫薬ニタゾキサニド(nitazoxanide)が大腸および前立腺がんの増殖を抑える効果を持つことが報告された。


大腸がんと前立腺がん


American Cancer Societyによれば、前立腺がんは米国の男性において二番目に多いがんで、すべてのがんの中で9.6%を占めている。一方で、大腸がんは米国で新たに診断されるがんの中で、全体の8%を占めている。

日本では、大腸がんは男性では三番目、女性では二番目に多く見られ、前立腺がんは男性の4番目に多くみられている(大腸がん情報サイト)。

前立腺がんと大腸がんの発生メカニズムとして、Wnt/β-カテニンシグナルの機能不全が、これらのがんの成長と増殖を引き起こすことが知られている。


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抗がん作用を持つ市販薬を探索


ノルウェーのBergen大学の研究者らは、すでに市販されている医薬品の中から、これらのがんの増殖を抑える薬がないか探索した。そして、抗原虫薬であるニタゾキサミドが抗がん剤として潜在的な効果を持つことを発見した。

ニタゾキサミドの抗がん作用メカニズムとして、がん細胞のWnt/β‐カテニンシグナルを阻害することも明らかにされた。

大腸および前立腺がんでは、高いレベルのβ‐カテニンが存在しており、これが遺伝子の転写や細胞間の相互作用を制御している。Wnt/β‐カテニンシグナルが破たんすると、発がんを引き起こす。また、このシグナル経路が破たんしているがんは再発を起こしやすい。

研究チームは、ニタゾキサミドが活性化されたβ‐カテニンに作用し、効果的に阻害することで癌細胞の成長が止まっていることを突き止めた。


まとめ


すでに市販されている薬剤は、ヒトでの効果や副作用について臨床試験が済んでいることや医療現場での経験が蓄積されていることなど、新薬と比較して利点がある。つまり、重篤な副作用などが起こらないことがすでに分かっているので、速やかに応用される可能性が高まる。

しかしながら、ニタゾキサミドがヒトで本当に抗がん剤として効果があるかは、今後精査される必要がある。

ニタゾキサミドのWnt/β‐カテニンシグナルへの作用は、免疫系にも影響を及ぼす。彼らの実験によれば、ニタゾキサミドによって免疫システムが活性化されることが示唆された。今後、研究チームは、ニタゾキサミドの免疫系の活性化による抗がん作用についても研究を進める予定であるという。





【論文】
Small molecule promotes β-catenin citrullination and inhibits Wnt signaling in cancer (Nature Chem Biol)

【参考記事】
Existing parasite drug may fight prostate, colon cancer (Medical News Today)