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慢性疲労症候群(Chronic fatigue syndrome)および湾岸戦争症候群(Gulf War illness)の患者の脳内で特異的な化学物質の変化が起こっていることが発見された。この二つの病気は最近まで、単に精神的な原因から起こると考えられてきた。


慢性疲労症候群


慢性疲労症候群と湾岸戦争症候群は、多くの症状を共有しており、筋肉の痛み、疲労、認知機能障害、睡眠障害、のどの痛み、頭痛、および運動後の不調などを特徴とする。

これらの疾患は、最近まで精神的な問題であると誤解されてきたが、この数年でその深刻さと適切な診断と治療の必要性が広く認識されるようになってきた。

しかしながら、現在までにこれらの疾患に対する治療法は確立されておらず、原因についても不明である。米国では、80万人から250万人の患者が慢性疲労症候群などを患っていると推定されており、早急な原因解明と治療法の確立が求められている。


慢性疲労症候群で起こる脳内の化学物質の変化


新たな研究によって、慢性疲労症候群などの正確な診断と効果的な治療を可能にするかもしれない発見がもたらされた。

米国の研究チームは、これらの疾患の患者の脳脊髄液に含まれる化学物質が、運動の前後でどのように変化するかを研究した。

患者は25分間以上エアロバイクを漕ぐことで、最大心拍数の85%に達するまで運動を行った。そして、運動の前後でマイクロRNAと呼ばれる、タンパク質の産生に影響する化学物質の量が測定された。

運動前には、慢性疲労性症候群と湾岸戦争症候群の患者と健常者との間に差は見られなかったが、運動後にはそれぞれのグループで違いが見つかった。

慢性疲労症候群では、12種類のマイクロRNAが運動後に消失していた。湾岸戦争症候群は慢性疲労症候群と症状が類似しているにも関わらず、マイクロRNAのパターンからは、異なるメカニズムで発症することが示唆された。

これらの疾患で見られたマイクロRNAの変化は、うつ病、線維筋痛症、アルツハイマー病などで見られる変化とは異なっており、慢性疲労症候群などに特異的であった。

今回の研究による発見で、慢性疲労症候群のより正確で迅速な診断法が開発されることが望まれる。





【論文】
Exercise-induced changes in cerebrospinal fluid miRNAs in Gulf War Illness, Chronic Fatigue Syndrome and sedentary control subjects (Scientific Reports)

【参考記事】
Chronic fatigue syndrome: Changes in brain chemistry found (Medical News Today)