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ある新薬によって、もっとも重度の脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy, SMA)の乳児はより運動機能を獲得できるようになり、47%多くの乳児が人工呼吸器による補助なしで生存できるようになったことが発表された。

その新薬Nusinersenは、非常に高い有効性を示したため、臨床試験を前倒しで終了し、すぐに米国食品医薬品局(FDA)によって全てのSMA患者に適用することが承認された。

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Ⅰ型SMAは、筋肉の発達に必要なタンパク質に変異を持つ乳児で起こる病気で、患者には生後6か月までの間に進行性の筋肉の弱体化が現れ、一人で座れるようになることはない。呼吸や嚥下の難しさは呼吸器の頻繁な感染症を引き起こし、患者の多くは二歳になるまでには栄養を取るための管と人工呼吸器なしでは生きることができなくなる。11,000人に一人の頻度でⅠ型SMAは現れ、その60%は最も重篤な症状を示す。

今回開発されたNusinersen以前は、SMAを標的にした薬は存在しなかった。この治療法では、SMN2遺伝子のアンチセンスDNA(オリゴヌクレオチド)を脊髄液に直接注入する。そのDNAが神経細胞に取り込まれ、神経と運動機能の発達に必要なタンパク質の発現を増加させる。

今回の臨床試験は、13か国31医療機関の121人のⅠ型SMA患者の乳児に対して行われた。13か月に渡る二重盲検法による試験で、nusinersenによる治療を受けた患者では41%の患者で運動機能の改善が見られ、一部の乳児では、足で蹴る、頭を動かす、寝返りを打つ、座る、立つなどの運動が可能になった。このような進歩は対照群の乳児では全く見られなかった。死亡率はnusinersenの治療を受けた乳児では63%減少し、人工呼吸器による補助を必要とする割合も低かった。さらに、重大な安全上の懸念も見つからなかった。

2016年12月にはnusinersenはFDAにより迅速に認可され、現在はSpinrazaの名前で全年齢、全種類のSMA患者に適用されている。この新薬は、FDAにより最初に認可された乳児に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。現在は、Ⅰ型SMA患者に対する長期的な効果が試験されており、同時にⅡ型SMAを患う成長した子供での臨床試験や、SMA症状が現れる前に出生時の遺伝子検査で陽性になった乳児に対する臨床試験が行われている。



【論文】
Nusinersen versus Sham Control in Infantile-Onset Spinal Muscular Atrophy (New England Journal of Medicine)

【参考記事】
New drug enables infants with genetic disorder to live longer, gain motor function (Science Daily)