vaccine
イギリスとスイスの共同研究チームは、ウイルス粒子と破傷風エピトープを用いた新たなワクチンを開発し、モデル動物実験で新ワクチンが乾癬、猫アレルギー、およびアルツハイマー病予防に有効であることを示した。この成果は、Nature Vaccines誌に発表された。

ワクチンは、病気の原因となっている病原体などの抗原を体内に入れることで、免疫系による抗体の産生を促し、感染症などに対する免疫を獲得する方法だ。同様のメカニズムを利用し、様々な病気の原因となっているタンパク質などの抗原に対する抗体を体内に産生させることで、感染症以外の病気の治療に応用できる。ワクチンは、直接抗体を入れるのに比べて、継続的な効果が期待できる点やコストが低い点などの利点がある。

SPONSORED LINK

これまでに、自己免疫寛容を避けるための手法としてウイルス粒子に抗原を導入する手法が知られていたが、粒子の不安定性や免疫効率の低さが問題となっていた。そこで研究チームは、植物ウイルス由来の配列にT細胞を活性化する破傷風エピトープを導入した新たなウイルス粒子を開発した。これにモデル抗原として、乾癬の原因であるInterleukin-17、アルツハイマー病の原因であるβ-amyloid、および猫アレルギーの原因であるFel-d1を導入した。

これらの疾患のモデルマウスで新たに開発されたワクチンの効果を検証したところ、免疫系が疾患に対抗している兆候が見られ、ワクチンが機能したことが示された。このワクチンは、通常は免疫獲得が難しい年老いたマウスでも低い投与量で機能することが示された。

当然ながらこれらのワクチンが医療応用されるまでには、人間での有効性や安全性を調べなければならないが、将来的にはこのようなワクチンが、アルツハイマー病を含む慢性疾患に対する安価な治療法として利用できるかもしれない。同研究チームは、今後パーキンソン病や慢性的な痛みにたいするワクチンの開発と前臨床試験を行っていくという。

【論文】
Incorporation of tetanus-epitope into virus-like particles achieves vaccine responses even in older recipients in models of psoriasis, Alzheimer's and cat allergy (Nature Vaccines)

【参考記事】
Could Alzheimer's be prevented with a vaccine? (Medical News Today)