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プロトン療法は、加速器によって作り出された高エネルギー状態の水素イオン(プロトン)を照射することで癌細胞を攻撃する新しい治療法だ。ペンシルバニア大学の研究グループは、小児頭頸部がんの患者にプロトン療法を適用することで、従来の放射線照射と同様の治療効果がより少ない副作用で得られることをPediatric Blood and Cancer誌に発表した。

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頭頸部がんは、小児がんの12 %を占め、その治療法には化学療法、放射線照射療法、および外科手術が組み合わされる。放射線照射療法は、外科的手術で取り残したがん細胞を完全に取り除くために重要である。

頭頸部の繊細さから、これらの治療法の副作用は患者の生活の質を大きく落としてしまう可能性がある。例えば、食欲の低下や嚥下の障害、粘膜炎などが化学療法や放射線療法の副作用として起こる。患者が小児であることも、これらの副作用により注意を払わなければいけない理由だ。

研究グループは、2010年から2016年までにプロトン療法を受けた小児頭頸部がん患者69人のデータを調査した。治療から一年後には93 %の患者は生存しており、92 %は同じ位置での再発を起こしていなかった。

副作用は1から5までの5段階で評価され、強度5が最も強い副作用をあらわす。今回の患者には強度3よりも上の副作用はみられず、症状としては粘膜炎(4 %)、食欲低下(22 %)、嚥下の障害(7 %)があった。これらの副作用の程度は、放射線治療による副作用に比べると有意に軽微であった。例として、放射線療法を受けた横紋筋肉腫患者の46 %は、強度3から4の粘膜炎を副作用として起こす。

これらの結果は、プロトン療法が効果的なだけでなく、副作用も少ないことを示しており、この療法の安全性を証明し、小児頭頸部がん患者での実施のガイドラインを与えている。研究チームは今後もこれらの患者を追跡調査し、長期にわたる有効性と毒性を評価するという。

【論文】
Proton therapy for pediatric head and neck malignanccies (Pediatric Blood & Cancer)

【参考記事】
Proton therapy lowers treatment side effects in pediatric head and neck cancer patients (Science Daily)