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gene test
がん研究において、1950年代から議論されている基本的な疑問のひとつに「普通の細胞が癌細胞に変化するのに必要なDNA変異はいくつか?」という問いがある。Wellcome Trust Sanger Instituteの研究チームが最近Cell誌に発表した論文によれば、その答えは「10個かそれ以下」だそうだ。

同研究グループと共同研究者らは、分子進化論で用いられる統計学的手法を応用することで、細胞の癌化に関与している遺伝子を特定する手法を開発した。これを用いて、29種類の癌から集めた7500のサンプルを分析した。そして、29種類のがんにおいて発癌に重要と考えられる遺伝子を分類した。その結果、肝臓がんでは平均で4つの遺伝子変異で癌化が引き起こされ、大腸がんでは平均で10個程度であった。

これまでの数十年に渡る研究で、癌化に重要な遺伝子変異は数多く特定されてきたが、今回の研究で明らかになった変異のうち、およそ半数はこれまでに知られていないものであった。今後はさらに多くのサンプルを分析することで、未知の変異を発見できるかもしれない。

さらに将来的には、今回開発されたような統計学的手法は、がんの個別化医療に役立つ可能性がある。患者それぞれのがん細胞が持つ遺伝子変異を詳細に解析することによって、特定の患者により有効な治療法を選択できるようになるかもしれない。

【論文】
Universal Patterns of Selection in Cancer and Somatic Tissues (Cell)

【参考記事】
Scientists uncover mutations needed for cancer to emerge (Medical News Today)