現代社会では生活習慣の変化によって、肥満やメタボリックシンドロームが大きな問題となっている。これらの問題を解決しうる方法として、最近では断食が注目を集めている。

これまでの研究によって、定期的な断食の良い影響として、酸化ストレスや炎症の抑制、インスリンの働きの改善、老化を遅らせるといった効果が報告されている。これらの事実から、5日間は普通の食事をして、2日間は断食をするという「5:2ダイエット」と呼ばれる食習慣がポピュラーになりつつある。

カロリーを制限することが健康に良いという証拠は集まってきているが、どのような理由で断食が良い影響を与えるのかは、まだ解明されていない。トロント大学の研究チームは、定期的な断食がもたらす体への影響を動物実験により研究し、褐色脂肪細胞と白色脂肪細胞が重要な役割を果たしていることをCell Research誌に発表した。

脂肪細胞には、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の二種類がある。白色脂肪細胞とは、摂取されたエネルギーのうち過剰な部分を脂肪として蓄える細胞であり、褐色脂肪細胞は、蓄えられたエネルギーを燃焼する役割を果たしている。白色脂肪細胞は、肥満やⅡ型糖尿病などに関連する一方で、褐色脂肪細胞はその治療に役立つのではないかと考えられている。そして、これまでの研究で白色脂肪細胞は、褐色脂肪細胞へ変化しうることが知られている。

今回の研究では、16週間にわたってマウスに定期的な断食をさせ、それによる体の変化を調査した。マウスは二群に分けられ、一方の群には1日間断食して2日間餌をやるというサイクルを繰り返し、他方には毎日餌を与えた。

両群のマウスが摂取したカロリーの合計は同じであったにもかかわらず、定期的な断食をしたマウスは毎日餌を与えられたマウスよりも体重が優位に減った。研究チームは、断食によってマウスの血糖値が安定し、インスリン感受性が上昇することを確認した。また、断食を行ったマウスは、肝臓の脂肪が減少し、肝臓の重量が増加した。これは、白色脂肪細胞が褐色脂肪細胞へと変化したために、その割合が減ったことが理由だった。

面白いことに、断食したマウスでは免疫系の機能にも変化が起こっていた。断食期間中は、血管増殖因子が上昇し、抗炎症マクロファージが活性化されていた。抗炎症マクロファージは、褐色脂肪細胞を刺激してエネルギーの燃焼を促進し、同時に炎症を抑える働きを持っている。

今後は、このような研究が新たな肥満や糖尿病治療の方針を作る上で役立つだろう。

【論文】(Open Access)
Intermittent fasting promotes adipose thermogenesis and metabolic homeostasis via VEGF-mediated alternative activation of maccrophage (Cell Research)

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