カテゴリ:
がん治療の大きな問題のひとつは、がんの再発である。一度は寛解した患者でも、何年も経ってから、より悪性度を増して再発することは珍しくない。がんの再発が起こるメカニズムを解明することは、より適切な時期に、より効果的な治療を行う上で必要とされている。

イギリスの研究者らは、再発したがんがどのように免疫系を避けるのか、そのメカニズムの一端を解明した。Cancer Immunology Research誌で発表された論文では、マウスモデルを用いた研究により、再発したがんはTNF-alfaシグナルの作用を転換し、ナチュラルキラー(NK)細胞を無効化することで、免疫系を逃れていることが報告された。

研究チームは、がんを生じたマウスを化学療法によって治療し、40日後から150日後まで寛解状態に至ったことを確認した。その後、長期間にわたって観察を続け、再発を起こしたがんを様々な角度から研究した。

その結果、TNF-alfaシグナルとNK細胞という二つの要素ががんの再発に重要であることを発見した。まずTNF-alfaは、本来は免疫系ががんを攻撃するための因子にも関わらず、再発を起こしたがんはTNF-alfaシグナルを受け取ると、増殖を強めることが明らかになった。

さらに、再発したがん細胞の表面にはPD-L1という分子で覆われており、これがNK細胞のPD-1と相互作用することで、NK細胞に攻撃しないよう「指示」していることが解明された。そこで研究チームは、マウスにPD-1とTNF-alfaの阻害剤を投与したところ、がんの再発が抑えられた。

今回の結果は、免疫系によるがんへの攻撃が起こらなくなるメカニズムを説明するものであり、免疫療法によってがんの再発を抑えるための方法への道を開くかもしれない。

【論文】
Subversion of NK Cell and TNF-alfa Immune Surveillance Drives Tumor Recurrence (Cancer Immunology Research)

【関連記事】
Cancer recurrence may be stopped with immunotherapy (Medical News Today)