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多発性硬化症(MS)は、脳や脊髄で起こる自己免疫疾患で、神経細胞のミエリン鞘が傷つく事によって機能が阻害され、視覚や筋肉の機能低下が引き起こされる。

現在の治療法は、免疫を抑えることで病気の進行を遅らせることに終始しており、失われた神経の機能を回復させることは出来ない。神経機能を回復させる治療法は、MS治療の新たな局面を拓くものとして嘱望されている。

現在、そのような治療法の確立を目指して、Clemastine fumarateの臨床試験が行われている。この薬剤は、MSにより失われた神経機能を回復させるのではないかと期待されている。

既存の医薬品による多発性硬化症治療の可能性


クレマスチンフマレート(Clemastine fumarate)は、1977年に米国FDAにより承認された抗ヒスタミン薬で、1993年からはOTC薬として販売されている。2014年に、UCSFの研究チームがこの薬によるMS治療の可能性を報告して以来、臨床試験が行われている。

今回の第二相臨床試験では、50人のMS患者に対して、クレマスチンフマレートが90日間投与され、視覚機能の回復が起こるかどうか試験された。その結果、クレマスチンフマレート投与群では、目から脳への神経伝達速度が上昇し、この速度上昇は、その後、クレマスチンフマレートをプラセボ薬に変更してからも持続した。

今回の結果は、Clemastine fumarateが、すでに傷ついたミエリンを回復させる作用を持ち、MS治療に新たな道を開くことを期待させるものである。

【論文】
Clemastine fumarate as a remyelinating therapy for multiple sclerosis (ReBUILD): a randomized, controlled, double-blind, crossover trial. (The Lancet)

【参考記事】
MS could be reversed with existing allergy drug (Medical News Today)