抗体の配列を含むDNAを投与することで、抗体医薬を安価に利用できる可能性が示された。Wistar Instituteの研究チームが、Nature Communications誌に発表した。

抗体医薬は、製造や保存に係るコストが高いことから、医療応用する上での費用が高いという問題がある。今回の研究成果は、費用の高い抗体の代わりに、そのDNA配列を利用できる可能性を示している。

これにより、抗体医薬の抱える高い費用などの問題に対する解決策がもたらされるかもしれない。

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研究チームは、今回の実験において、モデルとして多剤耐性菌Pseudomonas aeruginosaに対するモノクローナル抗体を用いた。

モノクローナル抗体は、病原菌が持つ特定の分子を認識する抗体で、その産生と精製には高いコストが必要となる。また、通常は注射による複数回の投与が必要である。

そこで研究チームは、モノクローナル抗体自体を投与する代わりに、そのDNA配列を投与することで、体内でモノクローナル抗体を産生させることを試みた。これは、DNA-delivered monoclonal antibodies (DMAbs)と呼ばれる手法だ。

実験では、マウスに対して、抗体のDNA配列を含むプラスミドDNAをマウスの筋肉中に投与し、電圧をかけることによって細胞内へと導入した(エレクトロポレーション)。その結果、マウス体内でのモノクローナル抗体遺伝子の発現が確認された。

そして、抗体を導入したマウスとコントロール群のマウスをP. aeruginosaに感染させたところ、コントロール群のマウスが数日以内に死に絶えたのに対して、抗体DNAを導入されたマウスは6日後に94 %の生存率を示した。

今回の結果は、DMAbsによって多剤耐性菌 P. aeruginosaの感染が治療できる可能性を示している。

また、同研究チームはこれまでに、デング熱、チクングニア熱、インフルエンザなどをDMAbsによって治療できる可能性があることを、マウスによる実験で証明している。

【論文】
An engineered bispecific DNA-encoded IgG antibody protects against Pseudomonas aeruginosa in a pneumonia challenge model. (Nature Communications)

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DNA-Delivered Antibodies Fight Off lethal Bacterial Infection. (The Scientist)