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脳副腎白質ジストロフィー(CALD)に対する遺伝子治療の臨床試験が最近行われ、治療を受けた患者のうち、88%の患者で病気の進行が抑えられたことが報告された。

CALDは、若い男児に好発する神経変性疾患で、診断から10年以内に命を落とすことが多い。

New England Journal of Medicineに発表された論文では、遺伝子治療を受けた17人の患者のうち、15人で病気の進行が抑えられ、2年以上にわたって神経の働きが保たれた。

今回の臨床試験は、単一遺伝子を標的にした遺伝子治療の治験で最大のものであり、bluebird bio社の協力により行われた。

副腎白質ジストロフィー(ALD)は、X染色体上に遺伝子が存在するALDタンパク質の機能不全によって、脂肪酸が蓄積することで神経細胞がダメージを受ける。ALDの中でも、CALDは、脳神経がダメージを受け、症状が最も重篤だ。

現在の治療は、健常人からの幹細胞移植に限られており、これには兄弟姉妹からの幹細胞の提供が必要となるが、必ず得られるわけではない。

今回の遺伝子治療では、患者自身の血液幹細胞を取り出して、ウイルスを用いて正常な遺伝子を導入する。そして、化学療法で機能不全の幹細胞を除いた後に、遺伝子導入された幹細胞を患者の血管へ注射する。結果として、遺伝子治療を受けた患者のうち全員で正常なALDタンパク質の発現がみられた。

今後は、CALDの遺伝子治療の実用化を目指し、規模を拡大して試験を行う予定だという。


【論文】
Hematopoietic Stem-Cell Gene Therapy for Cerebral Adrenoleukodystrophy. (New England Journal of Medicine)

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Gene therapy halts progression of cerebral adrenoleukodystrophy in clinical trial (ScienceDaily)