学振の審査では、研究業績と並んで研究計画が重要な位置を占めます。

業績は、一朝一夕に出るものではないし、特に短期間では、いくら頑張っても出ないこともあります。特にDCは目立った業績がなくても、研究計画が上手ければ十分に通る可能性があるので、諦める必要はありません。PDでも自慢の論文が一本あれば、勝利する可能性はあります。

業績が少なくても逆転できるように、審査員から高い評価がもらえるようなウケる研究計画を練りましょう。


本題に入る前に、他にも学振関係の記事を書いているので紹介したいと思います。ぜひそちらもご覧ください。

学振制度について知る

申請書を書く上で重要な一般的注意事項


僕がPDや海外PDの受入先を選んだ時の話

業績が少なく不利な状況からの逆転を目指す人のために

申請書の書き方についてもっと具体的に知りたい人には

面接に回されてしまったら・・・


それでは、本題です。

良い研究とは何か


良い研究、質の高い研究とは、どんな研究でしょうか?僕は化学と生物学に関連する応用研究をやっているので、その範疇での話ですが、ざっくり言って評価軸は次の二つだと思います。

1.独自性
2.社会的(科学的)重要性

独自性とは、その研究のどこが新しいのか、どこが既存の研究と違うのか、ということです。端的に言って、独自性のない研究というのは、それをやる意味すらありません。既存の研究と同じことをやるのは、単なる時間とお金の無駄ですよね。

逆に言うと、どのような研究であっても、何らかの独自性を持っているはずです。自分がこれまでやってきた研究の中から、どのような独自性を主張できるかが、申請書を書く上で重要な鍵になります。

社会的(科学的)重要性とは、その研究が完成した時に、どのようなメリットがもたらされるかということです。社会的に重要な問題(環境、健康、エネルギーに関する問題など)を解決したり、科学的に重要な疑問に答えをもたらすなど、自分の研究を達成すると何が嬉しいのかを審査員に納得させることが大事です。

この二つの要素を高いレベルで両立した研究が、僕の考える良い研究です。

誰とも違う独自のやり方で、社会的に重要な問題を解決したり、科学的に重要な疑問に答えを与えるような研究は、良い研究だと思いませんか?逆に言えば、この二つの要素のうちどちらか一方でも欠けた研究は、良い研究とは言えません。良い研究が書いてある申請書は、審査でもウケるし、逆もまた真です。




良い研究計画を書く


以上を前提として、実際に研究計画を書く上で、どのように書いていけばよいのでしょうか。僕は研究計画を書く時に、審査員が抱くであろう以下の三つの疑問に答えるようにしています。

1.どうしてこの研究が重要なのか
2.どうしてこの研究を行うのが僕でなければいけないか
3.どうしてこの研究を行うのがその受入先ラボでなければいけないか

それぞれについて、もう少し説明しましょう。


どうしてこの研究が重要なのか

これは、研究の社会的(科学的)重要性に関する疑問です。自分の研究の重要性を、審査員が理解できるようにします。

まずは、「研究の背景」のセクションで、これまでの研究で解決できなかった社会問題や科学的疑問を提示します。審査員は必ずしもあなたの分野の専門家ではないので、研究の意義を理解してもらうためには、判断材料となる情報を過不足なく提示してあげる必要があります。

そして、あなたの研究によって、いかにこの世がより良い世界へと変貌するのかを「研究の特色・独創的な点」のセクションで述べましょう。

大事なことは、「研究の背景」で提示した現状での課題に対して、「研究の特色・独創的な点」でその答えを示すことです。そうすることで、あなたの研究の価値を浮き彫りにしましょう。

どうしてこの研究を行うのが僕でなければいけないか

これは、研究の独自性に関する疑問です。どうして他の誰でもなく、あなたがその研究をする必要があるのか。どうして、その研究をするのにあなたが最もふさわしい人間なのか、それがわかるように申請書を書きましょう。

具体的には、「これまでの研究」の中で述べた自分の研究と、これからの研究計画がどのように関連するのかが重要になります。

全く新しいプロジェクトを始めるにしても、その中で自分がこれまでに培ってきた知識や技術をどのように活かしていくのか、それがわからなければいけません。それがわかるように、「これまでの研究」や研究計画の内容を調整しましょう。

どうしてこの研究を行うのがその受入先ラボでなければいけないか

この疑問は、PDや海外PDで特に重要です。これも研究の独自性に関する疑問ですが、自分だけの独自性ではなく、受入先ラボとのコラボレーションの中で生まれる独自性を求められています。

分かりやすいのは、自分の持っている知識や技術と、受入先ラボの持っている知識、材料および技術が連携することで、初めて可能になる研究などを提案できるとポイントが高いでしょう。

これは申請書を書く以前に、受入先のラボを決める段階で考えておかなければならない点です。学振PDでは、大学院時代とは異なる研究機関や研究分野に飛び込んでいくことが推奨されている、と見ることができます。

ただし、単に分野を移るというだけではなくて、それによって二つの独自性が融合し、その結果として新しい研究を生み出すことを求められているのです。

主に「受入研究室の選定理由」の中で述べていくことになりますが、異なる独自性の融合を強調するための前フリになるように「これまでの研究」の内容を調整しましょう。