salt

新たな研究によって、過剰な塩分の摂取が多発性硬化症(MS)の炎症を引き起こす仕組みが解明されました。

MSは、神経細胞を保護する役割を持つミエリンという構造を免疫システムが破壊することによって起こる自己免疫疾患です。

MSの原因はいまだ明確ではありませんが、遺伝的な因子と環境因子の両方が重要と考えられています。

環境因子としては、ビタミンD不足、喫煙、肥満、塩分の過剰摂取がMSのリスクを高めるとされています。塩分を取りすぎることで、脳の炎症を引き起こしたり、炎症を引き起こす細胞の数を増加させることが知られていました。

しかし、この塩分の効果を説明する分子機構は知られていませんでした。最近の研究により、過剰な塩分が自己免疫疾患を引き起こす仕組みが明らかにされました。

この論文はNature Immunology誌に掲載されました。

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過剰な塩分が免疫細胞に影響するメカニズム


この研究の中では、MS患者から採取された制御性T細胞が分析されました。制御性T細胞は、ほかの免疫細胞を制御したり抑制したりすることで、免疫反応を調節しています。

制御性T細胞は、自分自身や外来物質への免疫反応を調節することから、自己免疫疾患を防ぐ役割を果たすと考えられています。

研究チームは今回、この細胞の中で炎症を引き起こす分子であるインターフェロン‐ガンマ(IFN-γ)と炎症を抑える分子であるインターロイキン10(IL-10)のバランスが崩れていることを発見しました。

このバランスの崩れは、MS患者の制御性T細胞が高い塩分環境に置かれた場合に観察されました。

研究チームは制御性T細胞をさらに分析し、ベータ‐カテニンと呼ばれるたんぱく質が制御性T細胞の機能を保ち、炎症の促進と抑制を司る物質のバランスを整えるのに重要であることを発見しました。

彼らはこの分析によって、ベータ‐カテニンはPTGER2と呼ばれる受容体と共に働き、高い塩分による炎症を引き起こすことを明らかにしました。

研究チームは、「我々の発見はベータ‐カテニンとPTGER2の経路が制御性T細胞を調節し、環境因子と自己免疫疾患の橋渡しをしている。この経路は自己免疫疾患の発病に関与しているかもしれない」と結論付けています。





参考:MS: How too much salt can cause inflammation