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アミノ酸の一種であるアラニンには、代謝に影響して血糖値を下げる効果があることが発見された。

アラニンは非必須アミノ酸の一種で、たんぱく質が生合成される際の原料となる。

Joslin Diabetes CenterとHarvard Medical Schoolの研究チームは、このアミノ酸にこれまで知られていなかった新しい機能があることを発見した。

研究によれば、アラニンはAMPキナーゼと呼ばれる酵素を活性化することで、細胞のエネルギー産生を上昇させる。その結果、インスリンに依存しない形で短期間の血糖値の低下につながるという。

AMPキナーゼは体中に存在し、栄養状態が悪くなった場合や運動時に活性化される。

この研究は、Molecular Metabolism誌に掲載された。

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AMPキナーゼと糖尿病の関係


これまでの研究で、AMPキナーゼは細胞や組織の代謝を制御し、栄養状態への反応を司ることが明らかになっている。

細胞レベルでは、AMPキナーゼはシグナルを受け取り、エネルギー産生に関する遺伝子の発現を促す。

したがって、AMPキナーゼは糖尿病にも関連が深い。実際にⅡ型糖尿病治療薬のメトホルミンは、AMPキナーゼを活性化することで血糖値を抑制している。

Ⅱ型糖尿病は、インスリンへの反応が鈍くなることによって発症する。インスリンが効かなくなると、細胞は血中の糖分を吸収したりエネルギー源として利用したりできなくなる。

糖尿病のうち90%以上がⅡ型糖尿病とされている。


アラニンはAMPキナーゼを活性化する


彼らは、細胞や組織でAMPキナーゼが働くメカニズムを研究しようと考えた。そこで、研究チームはAMPキナーゼがアミノ酸にどのように反応するか研究した。

彼らは、ラットの肝臓細胞を使って、いくつかのアミノ酸を試験した。肝臓はグルコースの制御に重要であることが知られている。

その結果、彼らはアラニンによって継続的にAMPキナーゼが活性化されることを発見した。

次の段階として、研究チームはアラニンがAMPキナーゼの代謝活性のスイッチを入れることを確認した。

すべての実験によって、ラット、マウス、ヒトの肝臓のAMPキナーゼがアラニンによって活性化され、この活性化はグルコースの濃度に関係がなかった。


アラニンはマウスの血糖値を下げる


そこで研究チームは、生きたマウスでアラニンの効果を検証した。その結果、アラニンを経口投与することで、マウスのAMPキナーゼは活性化された。さらに、マウスにグルコースを与える前にアラニンを与えておくと、血糖値の上昇が抑えられることが明らかになった。

この血糖値を抑制する効果は、マウスの肥満度には関連がなかった。

最後に研究チームは、この血糖値変化はインスリンやグルカゴン分泌の結果ではないことを証明した。肝臓のAMPキナーゼ活性化によって、細胞の代謝過程が変化し、グルコース消費の増加と放出の低下が起こっていることが示された。

これらのデータを総合すると、アラニンはグルコース代謝に影響を与える特殊な作用を持っていることが示唆される。

将来的には、今回発見されたAMPキナーゼに対するアラニンの効果を応用し、グルコース代謝に作用する薬を開発できるかもしれない。

ただし、今回の研究はまだ初期段階であり、このコンセプトを検証するためには将来マウスやヒトでの試験が必要とされる。







参考:Could this amino acid improve glucose control in diabetes?