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ブドウに含まれる化合物であるレスベラトロールを鼻から投与することで、効果的に肺がんを防げるという研究結果が発表されました。

肺がんは、世界的に最も多くみられる種類のがんの一つです。

日本では、2018年に肺がんによって77000人以上が死亡すると予想されています(国立がんセンター)。

喫煙が最も大きな原因であり、80~90%の肺がんの原因と言われています。

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University of Genevaの研究チームは、肺がんのマウスモデルを使った実験で、レスベラトロールを臨床試験によって再評価すべきことを示唆する結果を得ました。

レスベラトロールを含む食品には、ピーナッツ、ブドウ、ベリー、赤ワインなどがあります。20年ほど前にこの物質に抗がん作用が発見されてから、科学者の注目が集まっています。


吸収効率の悪さという問題


レスベラトロールには強力な抗がん作用があると多くの細胞レベルでの研究によって示されてきましたが、動物の個体レベルでは十分な効果が得られてきませんでした。

その原因のひとつは、レスベラトロールを口から摂取した場合に吸収効率が低いことでした。消化システムによって、レスベラトロールが急速に分解されてしまうためです。

腸で吸収されるころには、レスベラトロールの効果は大きく減ってしまうのです。

経口投与されたレスベラトロールは腸のがんには効果を発揮しうるという科学的証拠はありましたが、肺がんについては効果が得られてきませんでした。

これを解決する方法として、研究チームは鼻の粘膜からレスベラトロールを投与する方法を検討しました。

大量のレスベラトロールは水に溶けないという問題がありましたが、研究チームは鼻からの投与法を確立しました。


抗がん作用の大幅な改善


鼻からの投与によって、肺でのレスベラトロール量は経口投与に比べて22倍に増加しました。

この投与方法を使うことで、肺にレスベラトロールを効果的に届けられることが示されました。

次に研究チームは、発がん性物質を使ってがんを発症させたマウスを使って、この投与法の効果を検証しました。このモデルマウスは、たばこによる発がんを模したものとしてよく用いられています。

彼らはマウスを4グループに分け、26週間の実験を行いました。最初のグループにはレスベラトロールも発がん性物質も与えません。二つ目のグループには、発がん性物質のみを与え、三つ目のグループには発がん性物質とレスベラトロールを与えました。四つ目のグループにはレスベラトロールのみを与えました。

研究グループのMuriel Cuendet博士によれば、レスベラトロール投与によってがんの大きさが45%減少したということです。また、サイズだけでなく発症したがんの数も減少しました。

肺がんを発症しなかったマウスは、レスベラトロールによって治療されなかったマウスでは12.5%でしたが、治療されたマウスでは63%に上昇しました。


がん細胞のプログラム細胞死を引き起こす


レスベラトロールは、がん細胞のプログラム細胞死(アポトーシス)を引き起こすことで抗がん的に作用すると考えられます。このアポトーシスは、有害な細胞が自らを破壊するためのメカニズムですが、がん細胞はこれを避ける方法を持っています。

研究チームは現在、レスベラトロールが有効な患者を見つけるためのバイオマーカーの探索を行っているということです。






 参考:Nasal delivery of grape compound shows promising results in lung cancer