fasting


断食によって血管の老化が遅くなるという新しい研究が発表されました。この発見はがん、心臓病、認知症などの加齢に伴う色々な病気の予防に役立つかもしれません。

超高齢化社会を迎える日本では、若さを保つことは健康に過ごす上でますます重要になってきています。

ジョージア州立大学のMing-Hui Zou博士らの研究チームは、カロリー摂取を制限することで、血管の老化を遅らせる分子が分泌されることを報告しました。

この研究はMolecular Cell誌に掲載されました。

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ケトン分子が細胞を若く保つ理由


血管は組織へと栄養を運ぶ重要な器官ですが、老化に伴って機能が劣化してしまいます。

研究チームは、この血管の老化で変化とそれを防ぐ方法を探しました。

特に研究チームが注目したのは、カロリー制限と血管の老化の関係です。チームは動脈硬化のモデルマウスから大動脈の細胞を取り出し、培養実験を行いました。彼らはカロリーを制限したマウスでも同じ実験を行いました。

その結果、カロリーを制限されたマウスから取り出された細胞は、βヒドロブチレートと呼ばれる分子を作り出していました。そしてなんと、これが血管の老化を防いでいたと言うのです。

βヒドロブチレートはケトンの一種で、グルコースが不足した場合に肝臓で作り出されてエネルギー源として体内で利用されます。体では断食、低炭水化物な食事、あるいは長時間の運動を行った場合にケトンが作られます。

興味深いのは、βヒドロブチレートが血管細胞の分裂と増殖を促進することです。細胞分裂は細胞の若さの指標となります。

Zou博士によれば、βヒドロブチレートには血管の老化を遅くする作用があり、断食のアンチエイジング効果の科学的なメカニズムのひとつだということです。


老化を止める薬は開発されるか?


この研究では、ケトンが別のメカニズムで血管内皮細胞のDNA損傷を防ぎ、細胞を若く保つことも明らかにされています。

つまり、βヒドロブチレートがRNAに結合するたんぱく質であるヘテロ核リボタンパク質に作用し、幹細胞の転写因子であるOct4を活性化します。

そしてOct4は、DNAの保護に重要なラミンB1と呼ばれるたんぱく質を増加させ、その結果、血管が若く保たれるのです。

Zou博士によれば、Oct4は老化を遅らせ、あるいは防ぐための薬を作る標的となるかもしれないとのことです。

「血管が若く保たれれば、心臓病、アルツハイマー病あるいはがんなどのすべての老化に関連する病気が起こりにくくなるだろう。今回の発見はとても重要で、我々はケトン体の機能を模倣するような分子を今は探索している」とZou博士は述べています。

断食を行うことは万人にとって必ずしも良いとは言えませんが、その代わりとなる分子を見つけることができれば、より簡単に病気と闘う助けとなるかもしれません。





参考:Fasting-induced anti-aging molecule keeps blood vessels young