vegitables


食物繊維は健康を保つための鍵となる栄養素ですが、新たな研究によって脳の老化を防ぐ効果もあることが報告されました。

食物繊維の豊富な食品を食べると、炎症を防ぐ効果のある脂肪酸であるブチレートが産生され、その結果、脳の老化が遅れるということです。食物繊維が豊富な食品には、ブロッコリー、ナッツ、オーツ、豆、全粒穀物などがあります。

この研究は、Frontiers in Immunology誌に発表されました。

SPONSORED LINK


食物繊維が炎症を抑えるメカニズム


論文の中で研究チームは、加齢とともにマイクログリア細胞が異常に活性化され易くなることを指摘しています。マイクログリア細胞は、脳内の主要な免疫細胞です。加齢とともに記憶力や認知能力が低下するのは、マイクログリア細胞による炎症が一つの原因と考えられています。

過去の研究で、ブチレートを薬としてマウスに投与すると、炎症が抑えられ、記憶力が改善される効果が得られることが知られていました。そしてブチレートは、腸内のバクテリアが食物繊維を消化する過程でも作られます。

ただし、この過程の詳細なメカニズムは明らかになっていませんでした。さらに、これまでの研究では食物繊維を増やすことで薬としてのブチレートと同様の効果が得られるかどうかも不明でした。

そこで、Johnson教授と研究チームは、若いマウスと高齢のマウスに食物繊維の低い、あるいは高い食事を与える実験を行いました。そして、マウスの血中ブチレート量と、腸内の炎症を促進する物質の測定を行いました。

その結果、食物繊維を多く食べたマウスでは、年齢に関わらず血中の短鎖脂肪酸(ブチレート含む)が増加することが明らかになりました。

しかし、高齢のマウスに食物繊維の低い食事を与えた場合にだけ、腸内での炎症が起こることが観察されました。若いマウスでは、食物繊維が低い食事をとっても腸内の炎症は起こらなかったのです。加齢によって、食物繊維不足の影響を受けやすくなると言えます。

また、食物繊維を多くとった場合には、高齢のマウスでも腸内炎症が抑えられ、若いマウスと同じレベルになったということです。

食物繊維を食事から摂ることで、腸内の炎症がコントロールできることが実証されたと言えます。


食物繊維が脳に良い理由


炎症マーカーの遺伝子解析によって、研究チームは食物繊維の豊富な食事が脳内のマイクログリアでの炎症を抑えることを発見しました。

研究チームは、炎症を促進する化学物質であるインターロイキン1βの産生が抑制されることで炎症が抑えられると考えています。インターロイキン1βは、アルツハイマー病にも関わっています。

食事内容は、腸内細菌に影響を与えることが知られています。食物繊維が豊富な食事が腸内細菌に良い影響を与える一方で、脂肪やたんぱく質が豊富な食事は腸内細菌に悪い影響を与えます。

腸内細菌を変えることは、食事が病気に与える影響の一つなのです。

Johnson教授は、今回の発見は人間でも同様のことが起こると説明します。「ブチレート自体は悪臭を持つため、直接食べるには向かないが、食物繊維を多くとることはブチレートを増加させるための現実的な方法となるだろう」と教授は説明しています。

「何を食べるかは重要です。高齢の人は、推奨されるよりも40%少ない食物繊維しか食べていません。十分な食物繊維を摂らないことは、思ったよりも悪い結果をもたらします。脳の健康や一般的な炎症への影響です。」





 参考:Eating fiber can delay brain aging