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18年間の追跡調査によって、長期間の疾患修飾療法(DMT)を行うことで、多発性硬化症(MS)の一種である再発寛解型MSの悪化リスクを下げられることが示された。

しかし、これらの治療はすでに二次進行型MSへと進行した患者には効果が見られなかった。

この研究は、Multiple Sclerosis Journal - Experimental, Translational and Clinical誌に掲載された。

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疾患修飾療法によるMSの進行抑制効果


疾患修飾療法(DMT)は、再発寛解型MSが二次進行型MSへと悪化することを防いだり、遅らせたりすることを目的のひとつとしている。

研究チームは、スペインのGITEMレジストリーに登録された1709人の患者を対象に、後ろ向き分析を行った。

1709人の患者のうち、225人は臨床的にMSと診断され、204人が第一線のDMTであるインターフェロンβ、あるいはグラチラマー酢酸塩(コパキソン)の治療を受けていた。

DMTによる治療は、患者が過去一年に一回以上の再発を経験するか、過去三年に二回の再発を起こした場合に開始されていた。これらの再発寛解型MS患者は、平均18.1年間に渡って追跡調査された。

治療に反応しなかった患者に対しては、第二線の治療法である免疫抑制剤(ノバントロン、シクロホスファミド)か、あるいは選択的な第二線DMTであるタイサブリやジレニアが使われた。

試験の参加者は三か月あるいは六か月ごとに定期的に検査され、EDSSスコアや再発頻度の記録、副作用の評価、あるいは治療中止の決定などが行われた。

二次進行型MSへの進行は、「患者の前回のEDSSが3以上で、6ヵ月間以上再発の証拠がないにも関わらずEDSSが4以上へと悪化」することを基準に判断された。

EDSSスコアが4とは、有意な身体障がいを示すが介助なしで歩ける状態を示す。


DMTは再発寛解型MSの進行を遅らせる


合計で、204人の患者が平均12年間、DMTの治療を受けた。そのうち88人(43.1%)は、治療が効かなかったために第二線の治療法へと移行した。29人は副作用のために、インターフェロンβからグラチラマー酢酸塩へと変更した。

109人(53.4%)の患者は14.1年のうちにEDSSスコアが3へと達し、74人(36.3%)は8年間で二次進行型MSへと悪化した(平均年齢42.6歳)。40人の患者は、平均20年のうちにEDSSが6に達した。これは歩行に介助が必要なレベルとされる。

二次進行型への進行を予測する因子としては、多焦点の再発発症年齢が34歳以上(発症年齢の高い患者では、二次進行型MSへと悪化するリスクが4倍)、および第一線DMTが効かないことであった。

これらの因子は、EDSSスコアが3から6へ悪化する時間の短さも予測していた。

42人(64.7%)の患者は、二次進行型MSへと進行した後で第二線DMTによる治療を受けた。彼らは、最初のMS発症から12年以内にEDSSが6へと到達した。

一方で、第一線DMTを受けた再発寛解型MS患者は、EDSSが6へと到達するのに21年間を要し、第二線DMTへと変更した患者のうち9.5%だけが二次進行型MSへの悪化を示した。

これらの結果を他の調査と比較すると、DMTは再発寛解型MSの進行を遅くする可能性が示唆された。

今回の研究では、18年の追跡調査の間に36.3%の再発寛解型MS患者が二次進行型MSへの進行を示していた。一方で、他の二件の調査結果によれば、類似の期間に二次進行型へと悪化する患者の割合はそれぞれ58%と66.3%であった。

しかし、二次進行型MSへと悪化した患者では、疾患修飾療法に効果は見られなかった。

長期間のDMT治療によって、二次進行型MSを発症する患者の数を減らせると考えられる。しかし、二次進行型へと変化した患者では、変化までの時間、悪化時の年齢、およびその後の身体障害は現在の治療によって影響を受けない。」と研究チームは結論付けた。







参考:Long-term DMT Use Seen to Lower Likelihood of RRMS Progressing to SPMS in Study