rhesus monkey

Nature Biotechnology誌に発表された新しい研究によれば、高コレステロールによる心臓病のリスクが高い患者は、近い将来、遺伝子編集の技術を用いた安全かつ効果的な治療を受けられるようになるかもしれない。

高コレステロール血症では、血中のコレステロール濃度が高まることによって、冠動脈の病気のリスクが大きく高まる。

高コレステロール血症の患者の多くは、治療のためにスタチンを服用するが、一部の人ではこれらの薬はコレステロールを十分に下げることができない。

いくつかの研究によれば、患者の7人に一人はコレステロールを下げるためにPCSK9阻害薬と呼ばれる薬に頼る必要がある。

しかし、PCSK9阻害薬は、何度も注射によって投与される必要があるため不便であり、一部の患者では忍容性の問題も生じる。

ペンシルバニア大学Perelman School of Medicineの研究チームは、そのような患者のために遺伝子編集による解決策を開発した。

今回の新しい研究では、アカゲザルにゲノム編集を行うことによって、血中コレステロールを下げることに成功したという。

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PCSK9による血中コレステロールの制御


健康な状態では、PCSK9遺伝子は悪玉コレステロールとして知られるLDLの受容体たんぱく質を分解することによって、過剰なコレステロールの血中からの除去を妨げる。

PCSK9阻害剤は、LDLの血中濃度を減らすことを助ける。しかし、PCSK9に対する抗体を注射によって繰り返し投与する必要があることや、この抗体に耐えられない患者もいることから、より効果的な方法の開発が望まれている。

そこで、Lilli Wang教授らの研究グループは、ゲノム編集技術を用いた新たな方法を開発した。彼らは、メガヌクレアーゼと呼ばれる特異的な遺伝子編集酵素を改変し、PCSK9遺伝子を不活性化する酵素をデザインした。

そして研究チームは、この酵素の遺伝子をアデノ随伴ウイルス由来のベクター(AAV)を用いてサルの肝臓へ導入した。肝臓は、過剰なコレステロールを除去する上で主要な役割を果たしている。

その結果、この治療を受けたサルでは、PCSK9レベルの低下とLDLコレステロールの低下が観察された。

特に、中程度から高程度の投与量では、PCSK9レベルは45~84%低下し、コレステロールは30~60%低下した。

これらのAAVベクターによる治療は、過去の血友病の遺伝子治療に関する臨床試験で用いられ、安全性と効果が確認されている。

研究チームは、「この研究によって、サルの個体内での遺伝子編集の効果と生理学的適合性が証明され、臨床試験に移行するための安全性が強調された」と結論づけた。






参考:Gene editing shown to lower cholesterol in monkeys