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多発性硬化症(MS)患者の脳サンプルと健常人のサンプルの分析によって、EBウイルスは両方に存在するものの、EBウイルスに感染した免疫細胞がMS患者の脳には、頻繁に多く存在することが明らかになった。

この研究は、Neurology: Neuroimmunology & Neuroinflammation誌に掲載された。

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EBウイルスは、95%の成人に影響を与えていると推定され、過去の研究から、EBウイルスとMSの発症リスクの因果関係が示唆されている。これらの研究では、MS患者ではそれ以外に比べて、EBウイルスに対する抗体レベルが高いことが報告されたが、後の追跡調査では再現性が得られなかった。

そこで研究チームは、MS患者の脳組織バンクから脳の検死サンプルを分析し、健常人のサンプルと比較した。

彼らは、EBウイルスがMS患者の脳サンプルの93%に存在する一方で、健常人では78%に留まることを発見した。

EBウイルスが免疫B細胞に感染した結果、85%のMS患者の脳サンプルではEBウイルスのRNAに陽性なB細胞が高い割合で発見された。一方で、健常人のサンプルからは、このような細胞はほとんど全く発見されなかった。

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Atara Biotherapeutics社のChris Haqq博士はプレスリリースの中で、「このNeurlogyの論文は、MS脳組織バンクを使って、EBウイルス感染とMSの関連についての発展しつつある証拠を拡張する」と述べた。「我々は、MSと対照サンプルの両方でEBウイルスが存在することを観察し、EBウイルスに感染したB細胞と形質細胞が、より頻繁にMSの脳損傷部位に局在することを観察した。」

免疫B細胞の中で、EBウイルスは潜在状態から溶解状態へと切り替わる。潜在状態は、ウイルスが宿主の免疫システムから逃れる方法であり、溶解状態はウイルスがより活動的に自己複製を行う状態だ。EBウイルスはMS患者とそうでない人の両方のサンプルから検出されたが、潜在状態のウイルスはMS患者の脳でより頻繁に見られ、溶解状態のウイルスは慢性のMS病変部位に限られていた。

「総合すると、MS脳組織バンクから得られた我々の結果は、過去の研究で見つかったMSの脳でのEBウイルスの存在を補強します」と研究チームは結論付けた。

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「これらの発見は、EBウイルスがMSの発症に果たす潜在的な役割の理解を進めさせ、この重大な自己免疫疾患の治療に向けて、慢性のMS病変に関連するEBウイルスに感染した免疫細胞を標的にすることへの支持を与えます」とHaqq博士は述べた。

Atara社では、EBウイルスに感染した中枢神経のB細胞を標的とし、自己免疫反応を抑えるための治療薬として、ATA188とATA190の二種類の薬を開発している。初期の結果では、これらの治療法がMS症状の臨床的な改善をもたらすことが示唆されている。

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参考:Atara Biotherapeutics Study Links Epstein-Barr Virus Infection with MS